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253.バカセカ番外編スレ
 ┗69

69 :やっきー
2022/10/27(木) 19:56:45

「だったらどうするんですか? 作戦は?」
「正直勝算はない。どうしたら勝てるか、わからない」
 悔しい気持ちを隠すことなく伝える。
「あいつは神で、おれは人間。このヒエラルキーは決して覆らない。
 お前は、ルルは、神なんだろう。ルルなら適うはずだ。だから」
 もとよりおれにプライドなんてものはない。そんなもの、かつておれが神だった時代に神の力ごと置いてきた。フィアのために生きると決めた。フィアを救うためにおれの生を捧げると誓ったんだ。
 フィアの救いは世界にあるのであってセカイにあるのではない。こんなセカイに用はない。さっさと終わらせて、帰ろう。フィアの救いが待つ、世界へ。
「力を貸してほしい」
 一言で言いきった。驚かれると思ったが違った。ルルは呆れているようだ。
「なに言ってるんですか。もう私たちは協力してるんですよ? さっきの勝負で私が勝ったじゃないですか。もう一回水ぶっかけましょうか?」
「それだけは勘弁してくれ」
 冗談ではなく本気でそう思ったので本気でそう言った。マスク越しのルルの笑顔がちょっと見えた気がした。

 黄金の光が視界を蝕む。目の前のルルさえ霞むほどの強い光に目を細め、しかし瞼を全て下ろすことはしない。おれは狭い視界で光源を見た。 
 黒かった彼が輝いていた。比喩ではなく、実際に。黒装束は白装束に変わり、顔以外の皮膚を全て覆っていた布も面積が多少小さくなっていた。真っ白だった肌も、やや黄色味を帯びている。
 現代では『魔力非混融症』と呼ばれる先天性魔法障害による、金から橙のグラデーションという独特な髪色がその存在を主張する。角度によっては金に見えなくもない橙色の瞳が埋め込まれたことでますますおれと外見が似た。
 転機だ。情報は共有しておくべきだ。おれはすかさずルルに耳打ちした。
「ルル、あの姿での攻撃なら反撃しても」
 否、しようとした。

「【キセキ・周辺減光】」

 ルルの姿がどぷんと闇に沈んだ。輝く彼の付近以外が空気ごと全て暗転し、この空間は彼の支配下となった。

「【キセキ・星間塵】」

 無数のキラメキが目の前に、手の先に、足元に、現れる。チカチカと点滅したかと思った次の瞬間、ソレはおれの体を吹き飛ばすと同時に魔法的な衝撃をおれに与えた。
「あ゛あ゛あ゛あ゛っ゛?!」
 冷たい熱いその両方が魔法的な感覚を通じて情報として脳に伝達される。身体中の穴という穴から聖光が刺し込み、皮膚を切り裂く。というのは錯覚だがおれは一秒だけパニックを起こした一秒でも惜しいおれは思いついた案をルルに伝えた。
「ルル! どこだ?! さっきの、さっきの混合魔法がしたい!!」
 確かそんな名前でルルは魔法を発動させていた。おれは協力技とやらはどうも苦手だがそんなことは言っていられない。この場を切り抜けるにはルルの力が必要だ。
「わかりました!」
 その声は背後からした。振り向くと若干離れたところに彼ほどではなくともヒカリに覆われるルルがいた。ああ、そうか。あいつも神なんだった。闇に飲まれたのはほんの短い時間だけだったのか。七色に光るルルが、眩く見えた。
 ひゅん、とルルから魔力が投げられる。おれはそれを受け取るのではなくおれも真似して魔力を投げた。おれとルルの中間地点よりはおれ寄りの地点で魔力がぶつかる。
「【融合魔法】」
 太陽には成り得ずとも、それに近い力を生み出すことは出来る。おれは神とヒトの力で核融合反応を起こし、莫大なエネルギーを生み出した。
 違うな。おれは、じゃない。おれとルルは生み出された強大なエネルギーで魔法を打ち出した。

「【彩炎光】!!」

 光のような炎のような、二つを掛け合わせて生まれたようなどちらでもない半端な『魔法』。魔法は彼の『キセキ』を弾き飛ばした。闇は晴れ、閃光も消えた。
 よし、もう一度。今度はもっと強い魔法を打つ。次で、決める!!
 そう意気込んだがその必要はなかった。【彩炎光】は彼にすら届いてしまい、それだけで彼は致命傷を負った。魔法は彼を直撃し、彼は膝を着いた。
「は?」
 つい口から漏れた音がこれだった。拍子抜けもいいところだ。なにが起きた? 彼のことは、おれのことはおれが一番よく知っている。この程度でおれが膝を着くことはない。
 すぐにわかった。彼はわざと攻撃を受けたのだと。しかし、なぜ。
「やりましたね!」

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