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253.バカセカ番外編スレ
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7 :やっきー
2022/03/17(木) 18:06:59
日向 >>>223.26
全属性の魔法を操り、主に黒魔法を使う。
蘭 >>>223.27
光・火属性の魔法を操る。武器は弓。
《日向視点》
「おれと二人でいるときくらい、それ外したらどうだ?」
蘭は草に埋もれるように寝そべりながら私に言う。仮面を付けていても、周囲で起こっていることは大抵わかる。『それ』というのは、私が付けている仮面のことだ。何がそんなに気になるのかは分からないけれど、毎日飽きずに言ってくる。
「だめ」
私の言葉を聞いて、蘭はため息をついた。
「別に、いいと思うんだけどなぁ」
「蘭が良くても、私がだめ」
「いや、おれがいいとかじゃなくて、客観的に見て。おれと日向以外誰もいないんだからさ。要は日向の目が他人に見られなきゃいいんだろ?」
「うん」
私が仮面を付けている理由としては、蘭の言う通りだ。だけど、私は母や祖母から「絶対に仮面を外すな」と言われている。誰にも見られていなければ外していいとは、一度も言われたことはない。
私の白眼は、この世界に存在するほとんどの『誰か』に疎まれる。それはカゾクも例外ではない。そのことについて私は特に何とも思っていない。それにカゾクは大事にすべきだと思う。だから私は私の意思で仮面を付けている。
「頑固だな」
「ほぼ毎日同じことを言う蘭も、人のこと言えない」
「おれは、日向の顔が見たいからだよ」
その言葉を聞いた直後、『心臓の辺り』が、ドク、と脈打った。
「?」
心臓ではない、と思う。でも、じゃあ、何が? 体の中の『何か』が動いた感覚がした。
「蘭」
「ん?」
「なにか感じた?」
「なにかって?」
蘭は何も無かったらしい。
「何も無いなら、いい」
「なんだよそれ。てか話逸らしただろ! まあ、いいけどさ」
話を逸らしたつもりは無いのだけれど。でも、蘭がいいと言うのなら、それでいいか。
この程度の体の異変なら、放っておいても大丈夫だろう。
ドクッ
「!」
また。今度はもっと、確かな異変だ。
心臓じゃない。これは、『魂』。魂が、何処かに向かって引っ張られているような、そんな感覚。一本の糸を引いたり緩めたり、あまり強い力ではないけれど、不快だ。
「ら……」
ここまでの異変は無視出来ない。きっと、何かある。そう思って蘭の名前を呼ぼうとした時、私は、最悪なことに気がついた。
蘭が居ない。
「蘭?!」
私は叫んだ。
返事はない。気配はない。でも、居なくなる前兆もなかった。何が起こった? 誰が起こした? この状態に、誰がした? 何がした? 何が、何が、何が!
ドクドクと激しく血液が体内を循環する。今度は心臓の拍動だ。焦りと不安と怒りとがぐちゃぐちゃになる。思考がグチャグチャになる。考えがまとまらない、定まらない。
息が出来ない。
頭が痛い。
『……けて』
その声を聞いたのを最後に、私の意識は奪われた。
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