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253.バカセカ番外編スレ
 ┗86

86 :げらっち
2022/11/10(木) 21:52:20

「行きますよ。ついてきて下さい!!」

私は黒い流れに飛び込んだ。

「どこ行くんだよルル!」
「ルルちゃん待って!!」
3人もついてくる。
この流れは、血液だ。セカイを循環する、命の水だ。そして血液が行き着く先は。


「心臓(ハート)!!」


私たちは体の中心、脳髄とは違う意味で体を支配するコアに、運び込まれた。
そこは周りとは少し違う、ぽっかりと開いた空間だった。私たちはその空間の中に入った。ようやく水の中から、無重力空間から出たような感覚になる。
しかしこのままでは再び動脈を通って体中に送り込まれてしまう。

私は、心に働きかける。

「今よりあなたを救います。でも執行するのは、私たちではありません。あなたが、自分自身の力で、助かるのです。」

私は神らしく、厳格に言った。

「生命そのものの掟を変えるのは、生命そのものです。私はその手助け、見守りをするだけに過ぎません。」

「ルルちゃん、何をする気だ!?」と霞月。

私は手を合わせ、「祈った」。

「光り魔術:クイックモーション」

祈りをささげた瞬間、心筋が、恐ろしい程の速度で血をセカイに循環させ始めた。
みるみるうちに速くなり、ついに、目で追えなくなった。最早、止まっているかのようだ。

私たち――私と蘭と霞月と奏芽――だけが、ぽっかりと、セカイの中心で、ゆっくりと、その様子を見ていた。

「どうなってるの?」と奏芽。

「私たちの周りの時間を、速くしました。それも、何億倍にも。」

生命は何億年もの時をかけて、徐々に進化してきました。
それを、一瞬で行わせるんです。
生命は進化し、人類は脱皮し、ルールは成長する。
自殺も生も死も存在しない段階にまで。全てが、ヒカリになるまで。

「ほら。なってきたでしょう。」

私はある方向を示した。
真っ黒だった空間の、端の方が、ポッと、白んで見えた。

蘭がポツリと、台詞を読んだ。
「朝日みたいだ。」

あれはセカイの頭だろうか。日の出を迎えたように、白い点が生まれた。そしてそれは、少しずつ大きくなっていた。
1年に1ミリ、いや、100年で1ミリほどの進化か。何世代にもわたって受け継がれてゆく生命の、気が遠くなりそうな時間の単位の進化を、ものの数分で終わらせていく。
しかし私は生命に直接働きかけをしているわけではない。ただ、それを早送りにして見ているだけだ。

生命はすごい。

ただ、見とれるだけだ。

無明のセカイは、明けていった。
私たちの居る心臓を超え、足先まで、白で染めていった。
それは魂の浄化。生命の完成。セカイの終焉。


「消えるんじゃない。世界へと帰還するんです。また、一番はじめにね。」


「本当にすごいな、お前は。」
蘭がそう言った。

「えへ!」
私は蘭に、ピースマークを見せた。
蘭も少しイヤそうに、けれど笑って、チョキをお返ししてくれた。
私は咄嗟にこぶしを握り締めた。
「グー!私の勝ちですよ!あっち向いてホイ!」
「はあ?何の話だよ!!拳を握ったということは交戦の合図か?良いだろう。決着がつかなくてもセカイが消え去るまで相手を続けてやるからな。」
「永遠にあいこってことですか?」

霞月も奏芽も、夜明けの光景に見とれていたようだった。
「もうすぐセカイが消えます。私たちは霊道から、元の世界に戻れるでしょう。」
私は奏芽の肩をポンと叩いて、言った。
「これ。リリが返しそびれたって言ってたから。」
私は奏芽の私物である、水色のハンカチを差し出した。
奏芽は、崩れんばかりに笑った。
「ありがとう!!」
「僕からも。」と霞月。「ありがとう。」

それがセカイの総意だった。

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