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253.バカセカ番外編スレ
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92 :げらっち
2022/11/15(火) 03:46:35

世界に、冬が来た。

ルルはマフラーにコートという完全防備で、級友の須良弥吏、為川漿果と共に商店街を歩いていた。
弥吏は一度神隠しにあったが、ラプラスによって霊道から帰して貰ったのだった。

「もうすぐクリスマスですね!ルルさんは何貰うんですか!?」
「bakaseka全巻ほしいです!」
「あー私も!!」
そんな話をしながら歩いていると、向こうから、中学生くらいの男女が歩いてきた。お揃いのマフラーを付けている。
ルルはその姿を見て、つい立ち止まってしまった。

「もうすぐクリスマスだね!ケンタッキー食べてかない?」
「え、コインランドリー行くのか?」
「それはきっと、センタッキーフライドチキンだよ!」
「あはは!バレたか!」

「うわ激寒ですぅ!」ルルはついそう口走ってしまった。
しかし仲睦まじい2人は、そんなルルには目もくれず、すれ違って行った。
ルルは振り返り、その後ろ姿を目で追った。
「どうしたのるるち?」と弥吏。

ルルは、2人の名を、知っている気がした。
「霞月さん?奏芽さん?」

2人は、ちらりと振り返った。
一瞬、ルルと2人の目が合った。
しかし2人は、また前方に視線を戻し、何かおかしそうに話しながら、歩いて行ってしまうのだった。

「他人の空似って怖いですね……」
ルルも自分の進行方向へ、歩き出す。すると。
「うわ!!!」

金髪に青眼の少女の姿があった。
同じく金髪に、オレンジのグラデーションがかかった少年と、並んで歩いていた。

「Hey,Orchid let's eat the roasted pork and go home!!」

少女はペラペラの英語を喋り、ルルには目もくれずに通り過ぎて行った。
「他人の空似って怖すぎですううう!!!」

「うわぁ、綺麗な外人さんですね……」と漿果。

ちらちらと、寒い空気に、氷の花びらが舞い出した。

「あ、雪ですぅ!」

ルルは雪を見るたび、リリを思い出した。
雲を見るたび、空を見るたび、鏡を見るたび、夢を見るたび思い出した。
最近は遺伝子の奥底に眠り、口を挟まなくなったリリ。
また会える日が、楽しみだった。





つづく

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