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265.VigilanteーThe Masked Riderー
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10 :迅
2022/04/10(日) 20:29:03
普通の相手ならこれで折れるかキレるかのどちらかだが、男は余裕そうな笑みを浮かべると、フフンと得意げに鼻を鳴らした。
「お前は運が良い。何せ、かの天堂任三郎の息子こと、この僕、天堂誠に声をかけられたんだからな」
男が名乗った途端、周囲の目線が集中する。
そして「天堂任三郎って、あのニッポンジャーの?」「マジかよ本物のエリートじゃん」「仲良くなったら紹介して貰えるかな?」など、ギャラリーがざわめき始める。
しかし、当の本人は眼鏡をクイっと上げて言った。
「周りのクズどもの言葉は気にするな。君は、僕の言葉に耳を傾けていれば良い」
「あ?」
瞬間、斗真の体から怒気が噴き出す。
この世で最も聴きたくない名前を出された挙句、その最も嫌いな男の息子の言葉にだけ耳を傾けていろだと?
冗談じゃない。
それに、先ほどのクズ発言も見逃せない。
「まぁ、これから仲良くしようじゃないか」
だが、誠はどこ吹く風と言わんばかりに手を差し出す。
「そう言えば、まだ聞いてなかったね?君の名前───」
「悪いけど、自慢したいならオーディエンスの奴にすればいい。俺は、お前みたいな七光のボンボンじゃないんでね」
斗真は誠の言葉を遮ると、侮蔑の言葉をプレゼントして歩き出す。
そして斗真の言葉が効いたのか、誠は声を荒げて叫んだ。
「こちらが下から出てやれば……!調子に乗るなよクズが!お前の顔は覚えたぞ!父さんに言い付けてやるからな!おい!聞いてるのか!この僕を馬鹿にした事、後悔させてやるからな!!」
まさに、虎の威を借るなんとやら。
───しかし、初日から面倒な奴に絡まれたな。
斗真は、本日二度目のため息をついた。
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