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265.VigilanteーThe Masked Riderー
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23 :迅
2022/04/20(水) 19:58:01
大通りから外れた、薄暗い路地裏。
そこは、活気に溢れた表舞台とは打って変わり、犯罪者を中心とした、社会の逸れ者達の巣窟となっていた。
「誰か……食い物くれ……」
「ひゃひゃひゃ!お前が悪いんだぞ……!俺に楯突いたお前が悪いんだ……!」
薄暗い地に響く、ホームレスの呻き声やヤク中の下卑た笑い声。
混沌ひしめく路地裏では、法も無法も存在しない。
路地裏を占めるある組織を除いて、この路地裏で生き残る為に必要なものはただ一つ、『力』だ。この世界でも『法』に縋っていては、あっという間に淘汰されてしまう。
そして今日もまた、社会に追い出された者の一人が、路地裏で生きる力を求め、売人と接触していた。
「な、なぁ、本当にコレさえあれば、誰も俺に手出し出来なくなるのか?」
「えぇ、勿論でございます。これは、神が我々に授けて下さった『力』なのですから」
痩躯の男の問いに、ローブを纏った女はどこか宗教家じみた答えを返し、手に持っていたアタッシュケースを開ける。
その中には、5つの錠剤が入ったケースと、ケースの個数分のシリンダーが用意されていた。
表舞台に暮らす平和ボケした人間なら、興味本位で手に取ってみるだろう。しかし、彼は腐っても路地裏の人間。目の前の女と、彼女が見せてきた品々から滲み出る異様で不気味なオーラを、感じ取れないはずが無い。
だが、彼はそのうちに1セットを手に取った。
答えは簡単。
彼の力に対する執着が、理性を凌駕したからだ。
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