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265.VigilanteーThe Masked Riderー
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31 :迅
2022/05/05(木) 20:21:17
院丁第二高校は、特殊災害避難所にも指定されており、あの夢の国と同等以上の敷地面積を誇る。故にコンビニなどもあり、その気になればここで暮らす事も可能だ。
その広大な敷地を移動する時間を配慮してか、ここの休み時間は少し多めに設けられている。(無論、その分授業時間も長めだが)
中でも、中庭は人気の休憩スポットだ。
「ん〜♪やっぱり、マスターの作るお弁当は美味しいですわ♪」
そう言って幸せそうにサンドイッチを食べるのは、先程知り合った正真正銘のお嬢様・虎洸メアリ。
「はい、あーん♪」
出逢って数分、何故か斗真は彼女に懐かれていた。
困惑の中、斗真の脳内に一つの言葉が過ぎる。
「(一体、どうしてこうなった……)」
事の始まりは、数分前に遡る───
「よう、虎洸」
「こんにちは、倉敷さま。今日も良いお日柄ですわね」
「メアリちゃーん!おっはー!」
「あらあら、こんにちは、桐崎さま」
隣を歩くのは、道行く人から挨拶を送られ、気を悪くしないどころか、柔和な笑みで丁寧に返すお嬢様。
精巧な笑顔を貼り付け、それを相手に悟られる事なく利用する。
良くも悪くも、筋金入りなのは確かだ。
そして、彼女ほどの有名人となれば、その所作の一つ一つや近くにいる人間一人ですら、噂話のネタになる。
「(虎洸さんの隣にいるのって誰?)」
「(護衛じゃね?)」
「(でもよ、護衛って確か、あのゴリラみてーな奴と、ヒョロヒョロな奴だったよな?)」
「(もしかして彼氏とか!?)」
「(ンな訳ねーって)」
彼女の後ろで、思い思いの事を言い合う生徒達。
普段なら聞くに堪えない戯言として聞き逃していただろうが、今は違う。何故なら───
「な、なぁ。どこまで行く気なんだ?」
隣を歩く少年・緋月斗真は、そっとメアリに問いかける。
彼は今、メアリと手を繋ぎ(正確には『繋がれて』が正しい表現だが)中庭に向かっている最中なのだ。
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