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265.VigilanteーThe Masked Riderー
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43 :迅
2022/05/15(日) 09:01:38
斗真は仮面越しにヘラッと笑って見せた。
「じゃあどうします?俺も捕まえる?」
「……いや、見逃そう。今回の件は、『熱心な一般人の協力によって事なきを得た』と、上には伝えておく」
「おっと、そこまで『は』融通効かせてくれるんですね」
「オシャレなブレスレットを両腕に嵌めてやろうか?」
「笑えねー冗談だな……」
流石にこれ以上は冗談では済まないと判断したのか、暸太郎の脅しに対し、斗真は大人しく引き下がる。
対する暸太郎は、案外物分かりの良い男だった。
「兎に角、今回は君の事は伏せておく。だが、今後似たような事が見受けられた場合は、覚悟しておけ」
「はいはい」
にっくき戦隊の警告を軽く聞き流し、斗真は踵を返して教室を後にする。そして、昇降口を出ると、中央のスロットからディスクを取り出して変身を解除。
黒いアンダースーツと白いアーマーは、そよ風となって彼の身体から放たれて行った。
「ふぅ」
一息つくと、彼は異変が無いか確認を始める。
手の開閉、跳躍、ちょっとした外敵刺激。
……よし、感覚はいつもと同じだ。どうやら、変身している間だけ、身体能力がブーストされるらしい。
スーツに内蔵された機能だろうか?
いや、それは追々父に聞いていくしかない。
ベルトをケースにしまい、斗真が帰路に着こうとすると、彼の前にあの黒いスーツの女が現れた。
「よッ」
「お前は……!」
女───シナプスは挨拶を飛ばし、斗真は身構える。
その態度が不満を買ったのか、彼女はため息をついた。
「全く、酷いなぁ。その反応。今は敵同士じゃあないじゃん」
───ま、良いか。
と、シナプスは塀から飛び降り、一瞬で斗真の懐に潜り込む。
殺られる。
だが、すれ違う様に彼の隣を歩くシナプスは、本能的な死を感じた斗真の耳元に、囁く様に告げた。
「君、もう変身しない方がいいよ?」
「は……?」
斗真は振り向く。
しかし、彼女の姿は霞の様に消えていた。
変身しない方がいい?どう言う意味だ?
一抹の不安を覚えながら、斗真の奇妙な一日は終わりを告げた。
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