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283.短編小説のコーナー
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2023/02/19(日) 16:14:15

「ねぇ、さっきの映画で食べたポップコーンマジで美味くなかった?」
一緒に映画を見た友人の一人・咲奈から声をかけられ、ふと優香は顔を上げた。
「え、ポップコーンって大体美味しいもんでしょ。美味しくないポップコーンって何?」
もう一人の友人の陽菜もしゃべりだし、ポップコーン談義が始まる。
「おいしくないポップコーン…百味ビーンとかじゃない?」
咲奈はこの前3人で行ったテーマパークに置いてあったお菓子の名前を挙げた。でも多分あれはポップコーンではない。優香は声を出した。
「百味ビーンはポップコーンじゃなくない?ただの豆でしょあんなもん。」
優香がバッサリ答えるも、咲奈は、ただの豆ではなくない?などとまだブツブツ言っていた。
「ねえ、次どこ行く?そろそろご飯食べたいんだけど。」
優香が尋ねると、勢いよく咲奈の手が上がった。
「わたしファストフード食べたい!」
ファストフード。
「よしコンビニで済まそう」
咲奈の言葉を完全に無視し、優香は立ち上がった。


まだ2月だからなのか、まだ寒い。手を擦りながら歩いた。
「ひーなー。優斗にバレンタインチョコ渡すって前言ってたよね。いよいよ明日じゃん!」
コンビニが見えてきた頃、咲奈が陽奈に喋りかけた。優斗は学年の中で一番と言われるほどの人気者で、好意を抱いている人も相当多いと聞く。
「やっぱ無理かもしれない。彼女いるって聞いたことあるし…」
「そっか。そんな時もあるよね。」
「気にしてないから大丈夫。さっさとご飯食べよう?」
コンビニに入ると、優香はアンパンとイチゴ牛乳を買って席取りのために外に出た。
空いているベンチに座り、一息つく。
「咲奈、陽菜、何買った?」
「優香、席取りお疲れ。私はから揚げ太郎と飴。咲奈はおにぎりとグミだってさ。優香は?」
「アンパンとイチゴ牛乳。」
優香が答えると、張り込みする刑事かよ!と笑われてしまった。美味しいんだけどな。
「ご飯食べ終わったらクレープ食べない?確かここまでにくる間にあったじゃん」
「あそこゲーセンの中にあるじゃん。校則でゲーセン入るなってことになってるしやめとこうよ。」
咲奈が提案するも、陽奈にバッサリ切り捨てられてしまった。
アンパンを頬張っていると、隣に座っていた咲奈が耳打ちしてきた。
「ねえ見て、あそこに優斗がいるよ。」
咲奈の目線を追うと、確かに優斗らしい人が見えた。隣に女の子を8人ほど連れている。
「え、めっちゃ女の子侍らせてるんだけど。最低。」
陰湿な目で優斗を見つめる咲奈と、女の子を8人侍らせるというあまりの衝撃に、優香も思わず笑ってしまった。
「ねえねえ、陽菜、見てあれ。告白できなくても良かったと思わない?」
優香は陽菜に声をかける。少しは気分も晴れるかもしれない。
「うっわ、何あれ。あの中に入ることになってたかもしれないと考えれば…これは確かに告白しないことにして良かったかもしれない。」
陽菜はため息をついた。
「よし、さっきはああ言ったけどクレープ食べちゃおう。あれ見た後で気にするものなんて何もないよね。」
優香は思わず拳を握ってガッツポーズを繰り出した。
じゃあ私チョコのにしようかな、期間限定のあるかなーー
年頃の少女たちの会話は止まらない。

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