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283.短編小説のコーナー
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159 :ダーク・ナイト
2023/02/25(土) 12:52:37

「悲しみの花束」二話

私が勘違いしただけなのに。
勘違いだったなら優しく勘違いだって言ってくれたら良かったのに。
「人を信用することもできない君は、もういらない。」
その言葉が、心の中でエコーされていた。
「良いよ、もう。やっぱりあなたはそんな人だ。」
私は涙をぐっとこらえ、彼に向かって言った。
「私にもうあなたはいらない。」
できるだけゆっくりと言った。
涙がこぼれ落ちないように。
このくすんだ雫を見られないように。
「僕だって、君はもういらない。」
彼はそう言い残し、背中をくるっと向けて去っていった。
さっきまで2人を包んでいた暖かい風は、あっという間に冷たく変わってしまった。

ー数日後
私は、親戚の家で開かれたパーティーに呼ばれた。
この前の重みが背中にズシンと乗っているようだ。
どうしても気が進まなかったが、引っ越す日までの最後のパーティーとなるため、行くことにした。
「やほ! 美久! 綺麗になったねぇ!」
と、中学生時代の友人に言われた。
「ありがとう。」
とだけ返しておいた。
パーティーが始まって10分くらい経っただろうか。
友人が言った。
「そういえばさ、今はみんなどんな感じで恋愛進んでるー?」
みんな口々に、
「いやあ、実はね、新たな彼氏見つけちゃってー。」
「俺は婚活中。」
だとか、幸せな事ばっかり言っていた。
友人は、
「良いなぁ、みんなあ! あたしなんてまだ相手も決まってないよぉ。」
と言っていたが。
私はひとり黙っていた。
まさか、別れたなんて言えない。
「美久はどうなの? 最近は。」
と友人が言ってきた。

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