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283.短編小説のコーナー
 ┗22

22 :黒帽子
2022/07/01(金) 00:00:53

超掌編
「忍者・雲隠十三 盆邪城の巻物」

江戸内海に突如流れ着いた巨大な城があった。その名は盆邪城。
異国のにおいが立ち込める盆邪城、その中には膨大な秘宝が数多く眠っているようだった。
幕府はこの城を怪しく思い、兵を出しては追い払おうとしたのだが、城の守りは堅い。よほど秘密にしたいものが保管されているのだろう。
ここで最終兵器ともいうべき忍者、雲隠十三を呼び、盆邪城への潜入任務を言い渡した。
十三は生きて帰れる保証のない魔城へと足を踏み入れたのであった。

「これが盆邪城、それにしてもけったいな見た目だな。城も門番も。」
門番も某氏を外せば半球上、詰襟の服を着ていた。門番は城に入れる唯一の橋を通せんぼするかのように守っている。堂々と近づくことは死を意味するものである、十三はそう認識し、クナイを門番の首にぶつけた。

「あべし!」といったかどうか定かではないが門番はそのまま海へと落ちていった。
次の門番が出る前に十三は橋を渡り、盆邪城の中へと入っていった。
次から次へと怪しそうな集団が現れる。面と向かって戦いが長引くと確実に殺されるため、十三は的確に急所を狙う作戦を実行した。一瞬にして積み重なる兵の山。十三は大急ぎで城の上部を目指した。

城の最上階にて主が待ち構えていた。主は鎖で繋がって二本の鉄の棒を規制を上げながら振り回している。
「アチョオオオオオオ!」
迷わず忍者刀で応戦する十三、つばぜり合いがしばらく続いたが壁に追い詰められ、城主が優勢となってしまった。
十三は迷わず股の下を潜り抜けるよう滑り、背後からぶすりと一撃をくらわした。

「そ、そこの巻物だけはくれてやる。これで勝ったと思うなよ」
城主はこう言い残し、息絶えた。

十三は大凧で城を脱出し、江戸城に巻物を献上した。しかしそれは白紙であった。
これは現代でいうトイレットペーパーのようなものであったからだ。

十三は試合に勝ったが勝負に負けてしまったのであった。

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