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283.短編小説のコーナー
 ┗32

32 :げらっち
2022/07/18(月) 01:14:58

 0ー2


「見ろよ、これ。」
 目を覆いたくなるようなものだった。轢かれた猫をそのまま人間に置き換えたような有り様だ。蛙でもいいか。
「クソッ……酷いもんだぜ!!」
 暗がりの中、千博は相棒の翔と合流し、視線をかわした。いつも冷静な翔だが今は怒りをあらわにしている。
「どう思う、千博。」
「どうって、GWCの仕業に決まってるだろ。」
 地面には涼のゲーム機が落ちていた。画面は粉々に割れ、本体はひしゃげている。
「奴ら本性を出しやがった。絶対許さねえ、ぶっ潰す。このふざけたゲーム戦争もこれで終結だ。」
「平和的だな。ガンジーが生きていたらさぞ喜ぶことだろう。」
 翔は嗜虐的にニヤリと笑った。
「俺は怜奈と信穏を呼び出し、合流する。敵はまだこの近くに居るかもしれないし、知らせておく必要がある。翔、お前は学さんに連絡を入れてくれ。」
「任せろ。」
 翔は自宅に向かおうとした。翔の家はGWCの基地としても利用されている。だがその前に翔は涼に向けて、「仇は打つからな。」とボソリと言った。

 俺は涼の目を閉じさせ、路地に移動させた。

 そしてゲームチェンジャーに声を吹き込んだ。
「怜奈、信穏、緊急事態だ、ハードモードだ。」
「何?もうパトロール終えて、直帰しようってとこなんだけど……」
 ゲームチェンジャーの画面にさっぱりした顔つきの少女、怜奈が映る。ゲームレンジャーの紅一点。
「家に帰ってお風呂でのんびりしてる場合ではない。涼がやられた。」
「え?」
 画面越しに、怜奈は苦笑いした。ジョークとでも思っているようだ。
「やられたって……どういうこと?ねえ、涼。涼!」
 怜奈は涼に通信を入れようとしているのだろう。声を投げ掛け続ける。だが涼のチェンジャーは命と共に破壊された。返答は無く、怜奈の笑みは消えていった。
「無事……なんだよね?」
 俺は返事をしなかった。

「信穏も応答してくれ!」

 画面が切り替わり、信穏が映る。

 その顔は血にまみれていた。

「千博、襲撃を受けた!!闇討ちだ!今すぐ来てくれ!!」
「信穏!?現在地は!?」
「ぐああ!!!」
 画面が乱れ、血飛沫、そしてくすんだ包帯が一瞬映り、直後通信が途切れた。

「しおん……?」

 再び画面が切り替わり、怜奈の顔が映った。怜奈の顔はすっかり青ざめていた。
「千博、一体……」
「怜奈、急いで合流する必要がある。今どこに居る?迎えに行くからそこを動くな!通信はオンのままにしておけ!!」

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