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283.短編小説のコーナー
 ┗38

38 :げらっち
2022/08/07(日) 15:31:03

真っ白い廊下を、2人の男が並んで歩いている。
1人はゲラッチ、そしてもう1人は、ネクタイをきっちり締めた、大柄な男性。
彼は真理雄。つまり荒らしをこよなく嫌う真理の英雄であり、つまりお偉いさんだ。

「お手柄だねゲラッチ君。あのカシス&カリナを永久アク禁にするとは。こちらとしても手間が省けたよ。」
「なあに、容易いよ。個人的な因縁の相手でもあったからね。それに、サクソフォーンには任せておけない。」
2人は歩きながら、握手を交わした。

廊下を抜けると、大きな円卓のある部屋に行きついた。
真理雄が椅子に掛け、ゲラッチがその対角線上に座った。
円卓の中央には、ワッフルが山のように積まれている。

「だが知っての通り、この真理類連邦には、まだ荒らしがゴロゴロいる。メテオ、ブレイザ、チャーミン、7ティーンなどだ。」
「7ティーンは悪い奴じゃない。」と、ワッフルをほおばりながらゲラッチ。「荒らし認定するのはまだ早い。あいつは追い詰められ、自暴自棄になっている。魔族の親類というだけで迫害を受けたのだから当然だ。懐柔し、仲間にできる。」
「レナックのようにか?」
真理雄は書類を綴りながら言う。
「私からしてみれば、あいつも荒らしの1人だ。何故君がいつまでも膝元に置いているか、理解できないというのが本心だよ。」
「では私も言うが、君も一部の荒らしと結託しているんじゃないかい?この連邦の均衡を保つために、毒をもって毒を制すという建前で。」とゲラッチ。
真理雄は書類から顔を上げずに、ニヤリと笑って言った。
「君こそ、改心した荒らしや魔族を引き込んで、謀反を起こそうという魂胆が見えてるぞ。メリルイ部長さん。」

ゲラッチは残るワッフルの欠片を呑み込んだ。少し大きかったようで、次の言葉を出すまでにタイムロスが生じた。
「ああ嫌だね。我らは保身ではなく、未来のために戦っているはずだ。そうだろう?魔法はやがて、至極一般的な物になるだろう。それを見越し、改革の準備がある。それだけだ。」

「未来とは、随分と不確定的だな。誰の未来だ?」と真理雄。

「世界の未来だとも。」とゲラッチ。

「はは、言ってくれるね。だがもし君が世界を荒らすと言うのなら、私は君を荒らしと捉え、それ相応の処分をする。覚えておいてくれ。」
真理雄は背中から生えている太い腕をチラつかせた。彼が処罰した「荒らし」の「魔族」から頂戴した、魔法の腕だ。

「ひゃ~、怖い怖い。」ゲラッチは両手を振った。
「せいぜい怖がっておけ。そうそう、ワッフルを食べたね?」
「ああ、こんなにあるんだから、良いだろ?」
真理雄はゲラッチの顔を見て、笑った。
「毒入りだよ。君なら食べるとわかっていた。君は今すぐに、7ティーンを討伐したくなるだろう。でなければ解毒剤は手に入らないのだからな。」
ゲラッチは諦めたように笑う。「やれやれ。」

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