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283.短編小説のコーナー
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4 :やっきー
2022/06/20(月) 16:29:56

 おれはずっと前から、『奴』の存在を知っていた。
 だけど、見ないふりをしていた。だって、見たくないのだから。
 そうやって、限界まで、今日まで、『奴』を無視して生きてきた。
 そして今日、『奴ら』はおれたちの前に現れた。おれたちの人数分、『奴ら』はいた。

 これは罰だ。怠惰の限りを尽くした、おれへの。

『奴』の存在。襲ってくる時間。現れる場所。おれはその全てを知っていたのに、それらを無視した。
 なんの準備もしないまま、なんの備えもしないまま。

 あるものは勇敢に戦い、あるものは戦いを放棄し。おれも、戦わなければならない。

 わかったよ。もう、逃げない。

 いや、この感情は、『諦め』に近いだろうか。
 なんでもいい。とにかく戦おう。剣よりも強いこの武器を手に取って。

 おれは『奴』を睨みつけた。『奴』はピクリとも動かない。ただおれを嘲り笑うかのように、そこにいるだけだ。

 おれは『奴』に向かって、武器を突き立てた。やや丸みを帯びたその武器は、『奴』の体を貫通することは無い。
 そのまま滑らかに武器を動かす。『奴』は動かない。ただそこにいるだけなのに、おれは押しつぶされそうなプレッシャーを感じる。

 小一時間ほど、おれは休むことなく戦った。やがて『奴』は、『奴ら』のボスにより撤退させられた。

 終わったのだ。勝利も敗北もない、ただお互いの意思をぶつけ合うだけの、無駄な戦いは。

 おれは歓喜のあまり、腹の底から叫んだ。






「ぃよおおおおっしゃぁぁああああああ!!!!!! テスト終わったあぁぁぁあああああ!!!!!!」

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