アマゾン

スレ一覧
283.短編小説のコーナー
 ┗43

43 :迅
2022/09/20(火) 21:30:36

 青年が踵を返して歩き出すと、何処からともなく現れた黒服が貴大の遺体を担ぎ、その相方が壁や床に飛散した血痕を徹底的に拭き取り、床に散らばった空薬莢を手際よく回収して行く。
 このゲームは見ての通り『デスゲーム』であり、その実態を他者に知られてはならない。
 黒服たちが去る頃には、現場は何もなかったように元通りにされていた。

『今シーズンを生き残った方々には、ランクに応じて報酬を配布いたします。次回の開催は二週間後を予定しておりますので、暫しお待ち下さい

次回も、溢れんばかりの死と祝福を貴方に』

 次回の告知と共に、アナウンスが終了する。
 ゲームが開催される一ヶ月間、プレイヤーは常に死と隣り合わせの生活を送る事になるが、最後まで生き残った者には、相応の報酬が与えられる。
 その中で最も重要かつ価値があるのが、『自分の願いを叶える』権利。願いの内容が現実的だろうと非現実的だろうと、その権利さえ手に入れて仕舞えば、叶える事が出来る。
 全プレイヤーは、それを手に入れる事が目的と言っていい。
 そして、先程死亡した木端貴大に『息子を助けたい』と言う願いがあったように、この青年にも叶えなければならない願いがある。

「俺は、アンタの死因を必ず解き明かしてみせる」

 かつて、姉は謎の死を遂げた。
 その手掛かりを掴み、死の真相に辿り着くための道筋が、この『デザイアゲーム』には存在する。

[返信][編集]



[管理事務所]
WHOCARES.JP