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283.短編小説のコーナー
 ┗50

50 :迅
2022/09/21(水) 20:28:35

「すんません、天丼一つ」

 カウンターの前に立ち、食券を提出して注文する。昼下がりの学食は、いつにも増して賑やかだった。
 もちろん、教室で弁当を食べる者もいる。
 しかし、人は群れで行動する生き物。
 『陽の者』を自称する者たちは、大人数で食べる事で、マウントを取れると思っているのだろう。
 その証拠に、大きなテーブル派手な髪色の者たちが使っており、眼鏡をかけた冴えない彼らは、個人用の席に座って淑やかに昼食を頂いている。

 ───別に、彼が知った事ではないのだが。

「はいよ、天丼お待ち」
「ども」

 新はカウンターを離れ、720円もする天丼が乗ったお盆を手に座れそうな席を探す。
 何処もかしこも、見渡す限りの席が陽キャを自称するグループやオタクグループによって占拠されていたが、柱近くの個人席に座る。

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