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283.短編小説のコーナー
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51 :迅
2022/09/21(水) 20:29:08
「いただきます」
席についた新は、お盆を置いて両手を合わせ、割り箸を割って艶やかに輝く白米をかき込む。
するとどうだ、目の前には桃源郷が広がるではないか。
海老天は衣で嵩増しされておらず、肉厚で弾力のあるプリッとした歯応えが、サクサクに仕上げられた衣と口の中でセッションを奏でる。
甘辛いタレは海老の旨味を吸収し、白米が持つ独特な甘みをさらに際立たせる。
地味に嬉しいのが、この付け合わせの沢庵だ。
爽やかな味わいとシャキシャキの食感が、重い物を食べた後の箸休めに丁度いい。
……などとまぁ、ノリノリで一人脳内食レポをかました後に味噌汁を口に運ぶ。
テーブルを挟むように椅子が二つあるが、まさか合席しようなんて者は居ないだろう。
……多分。
「邪魔するぞ」
居た。
それも、すごく聞き慣れた声だった。
此方の許可も取らず、声の主は反対側に置かれた椅子に座る。昼食は既に食べ終えていたのか、手ぶらだった。
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