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283.短編小説のコーナー
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61 :迅
2022/09/22(木) 19:34:14
「まさか、ランキング最下位を独占してたのもお前か?」
「う、うん……」
「えっと、戦おうとはしなかったのか?」
「一応したよ?したんだけど……僕、喧嘩はそこまで得意じゃないからさ……」
「はぁ?」
「で、でもさ!ちゃんと他の人を助けたりとか───」
「お、颯太クンじゃーん!こんなとこに居たのかよぉ〜」
すると、二人の会話に割って入るように、数人の柄の悪い男女がやって来る。
少なくとも彼の友人……では無さそうだ。
その証拠に、颯太の方に眼を向けると、彼の手は怯えるように小刻みに震えていた。
「突然居なくなるからさぁ、俺たち探したんだぜ?」
「そうそう、飲み物とか自分たちで買いに行かなくちゃいけなかったし、疲れたなぁ〜」
「どう責任取ってくれんの?」
リーダー格と思しき男子の発言を皮切りに、好き勝手言い始める不良グループ。
当の颯太は募る不満を抑え込むように、グッと拳を固く握り締めていた。指の爪が皮膚に食い込み、そこから血が滲み出ている事も承知で。
新には関係ない話だが、流石に読書の邪魔だ。
「おい、そこら辺にしとけよ」
小説を閉じ、刃のように鋭い視線と口調で言う。
だが、取り巻きの一人が臆する事なく、新に向かってメンチを切りながら顔を近付ける。
「何だァー?テメェ、もしかして正義の味方?ミカタっすか?」
ガムを噛んでいるのか、クチャクチャと汚い咀嚼音を上げながら睨んで来る取り巻き。
まさかとは思うが、威圧のつもりだろうか?
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