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283.短編小説のコーナー
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94 :ベリー
2023/02/10(金) 23:58:09
ああ、思い出しただけで鳥肌が立つ。
口にするのもおぞましい。
それでも君はこの話を聞くのかい?
そうか、なら仕方ない。途中でナシは、無しだからな? ヨシ、では話そう。
碧がどっぷりと漆黒に沈んだ丑三つ時。ふと、俺は目が覚めたんだ。
知らない天井だ──という展開はなく、俺の視界には何時もの俺の部屋の景色が飛び込んできた。
ただ、異様な点は一つ。
腹に違和感を覚えたんだ。
それは、とても形容しがたい感覚でな。胃が不気味に独りでに藻掻いて、その振動が喉までやってきたんだ。
痛くも無ければ苦しくもない。ただ、居心地は悪い。
俺は胃の命のまま、自室を出たんだ。
フラフラと、いつもより暗く薄い色彩の廊下を歩いてたどり着いた部屋。
そして目の前には、箱があった。
真っ白で、とても自然的に出来たとは思えないツルツルで綺麗な箱。
俺は、躊躇わずにその箱を開ける。すると途端に入る白を極めた針が俺の目を突き刺したんだ。
ジンジンと痛む自分の眼球を抑えるが、それでも胃は命を下ろすことを辞めない。
俺の体は勝手に動き、箱の中に入ったおぞましい物物を取り出した。
1つは、哺乳類の肉とは思えない、宝石のような膨らみを持つ真っ赤な死骸。
もう1つは、羽虫ぐらいの大きさの白い死屍累々。
更にもう1つは、第一関節程小さな腐肉色をした輪の集合体。
最後に、飲むともがき苦しみ死に至る、古血色の液体。
それらを揃えた瞬間、俺は恐怖でどうにかなりそうだった。
戦慄という名の稲妻が足から全身に走ると同時に、さっきよりも冷たい部屋の空気が俺を肌を突き刺す。ただ、課せられかけている”罪”に押しつぶされ、どろっとした内蔵が口から飛び出そうだった。
そんな俺を見ても、胃は命をし続けた。
俺は行けないことと分かりながらも、死屍累々を抉りとる。
そこに、新鮮な死骸を無慈悲に置いて腐肉色の輪を乗せた。最後に、毒液をたらり。
あぁ、もう後戻りは出来ない。
俺の心身は既に”罪”に押しつぶされていて、折れた肋骨が腹に刺さるほどの心の痛みを感じた。
そして、棒2本手に取る。
毒液がかけられたルビーと言われても違和感がない死骸を棒で囲み、死屍累々と腐肉色の輪諸共掴みあげた。
そして、それを。
──口に運ぶ。
初めに口内を襲ったのは死骸だった。俺の舌に死骸自身の長所を押し付けて、無責任に溶けてゆく。
ただ、それだけでは俺は屈しない。
そこで出てきたのが毒液。毒液らしく俺にしょっぱい刺激を刺して、死骸が如何に滑らかで優しかったかを叩き込む。
そこに割り込む死屍累々と輪。死屍累々が毒液の刺激をカバーして、死骸と上手く融合。輪はシャキシャキと悲鳴をあげて、俺を楽しませた。
毒液の努力は全て水の泡になったのだ。
それらを嘲笑った俺は一言。
「マグロ丼うめぇぇ……!」
朝起きたら、シンクの中に洗い物が一つ増えてたんだ。
冷蔵庫の中には、特売のマグロの刺身と、お冷が無くなって、ネギと醤油は減っていた。
それと昨晩の記憶を重ねると、もう恐ろしい……!
お前も気をつけろよ?
俺の話を聞いたからには、お前も深夜の飢餓感に耐えられなくなってマグロ丼を食ってるかもしれねぇ……。
俺は、責任を一切も、追わないからな──
◇◇◇
読み直し無しで、衝動的に書きました。
誤字脱字絶対ある。失礼しました。
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