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317.幻想の叶え歌
 ┗3

3 :露空
2022/12/12(月) 19:10:56

一話 


「此処の周りかな?気配は無いけど……」
この街で、灼によって約二週間のうちに三人が行方知れずになっているという報告を聞いて駆けつけてきた。しかし、居た痕跡は見つからないまま時間が過ぎていく。
「っ!」
路地裏を抜けたところで少年が倒れている。駆け寄って声をかけた。
「『灼狩り』の流戟隊、湊斗です!聞こえますか!」
頭から血を流し、軽いが全身に怪我があった。意識が無い。でも脈と呼吸はある。
突如現れた得体の知れない化け物に、必死で抵抗したのだろう。
此処から近い麗さんの家で治療すれば助かるはずだ。
その中学生くらいの少年を背負い、彼女の家へ急いだ。

「灼」とは、三十年程前、つまり僕も産まれる前から東京やその近辺に蔓延る生き物のこと。知らない人も多い。というか、よほど僕のように灼狩りでもしていないと知らないと思う。影に潜む悪そのものだ。
人を襲う。原因は未だ解明されていない。
そんな灼も、元は……生前は、人間だという。

「麗さん!居る?怪我人だ!」
麗さんが一人で暮らし、流戟隊の本拠地になりつつある此処は小さな和風建築だ。彼女の曾祖父母の代に建てられたという。
「はい!大丈夫、処置道具を用意するから奥の部屋に布団を」
廊下を早足で歩き、一つの部屋の襖を開ける。
ひとまず畳に少年を座らせ、押し入れから布団を出してひき、寝かせた。
程なくして麗さんが道具を入れたかごを持ってきた。血と汚れを拭い、傷を消毒して包帯を巻く。いつ見ても素早い。
「怪我の処置はできた。目が覚めたら状況を説明してあげてね」
一緒に居てあげて、と残して麗さんは戻ってしまった。

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