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340.シャインシックス【小説スレ】
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33 :ダーク・ナイト
2023/02/16(木) 18:34:53

第三十一話 「閉じ込められた悪→?その6」

仲間が危険だ。
そのことはわかっているのに、どうしてか動くことができない。
全身がしばりつけられているように。
実際はしばりつけられていないのだが。
起こすべき行動は、もちろん一択のみだ。
なぜココで立ち止まっているのか。
なにせ、今まで戦ってきて、仲間が攻撃に当たったことはあるかないかもわからないくらいの数なのだ。
だが、これからを考えていくと立ち止まっている場合ではない。
その強い思いが、体をしばりつけていた心の縄をほどいた。
「来夢!」
ジーナはかすれ声で喉が痛くなるくらい叫んだ。
来夢は炎にまみれながらも、ゆっくりとジーナの声のする方へと顔を向けた。
「ジーナさん……感謝ですわ……」
「なに言ってるの、その状況で! 私は……本気で、助けに来たの……。助けてほしいなら助けてって……言って! お願いだから……!」
来夢は炎と涙が混じった瞳を頑張ってにこっと上げた。
「感謝……ですわ……。お言葉に……甘えまして……助けてくださ……いな。」
とぎれとぎれでも必死に言葉を伝える来夢を見て、ジーナは心が痛んだ。
こんなときに自分が変わってあげられたら、どんなに良いだろう。
そう思うがすぐに来夢を救出した。
「念力!」
ジーナの得意な念力で来夢を立ち上がらせた。
だが、炎は消えてくれない。
任せた、という合図でみぞれにウィンクをした。
(ジーナさん、任せて下さい!)
という気持ちをたっぷりと込めて、みぞれはウィンクを返した。
ジーナがひそかに
(みぞれのウィンクって気持ち悪い。)
と思ったことは内緒にしておこう。
それはさておき、みぞれは眉同士がくっつきそうなくらいな顔になり、全身の力を振り絞った。
「カチカチコールド!」
サボルナは先程と同様、
「むしむしエネルギー!」
と攻撃から身を守っている。
(今だ!)
サボルナがみぞれに気を取られているスキに、ジーナは
「クリア!」
と唱えた。
クリアというのは透明という意味だ。
その名の通り、あっという間にジーナは消え去った。
透明になったのだ。
サボルナもジーナが姿を消していることに気がついたらしい。
「どこだあああああああああ!」
サボルナはやみくもになにもない空気に向かって攻撃している。
やるだけ無駄だ。
ジーナはサボルナの背中に回り込んだ。
「サイコアタック!」
どおおおんと大きな音がして、地面がグラグラッと揺れた。
そして、紫色の大きな玉とともに、サボルナはどこかへ飛んでいった。
みぞれがジーナに駆け寄った。
「ジーナさん! やりましたね! あなたはにんにくの臭いがするだけの念力少女としか思っていませんでしたが、こんなに仲間思いだったとは!」
一言余計だ、と言ってやりたかったが、黙っておいた。
なぜなら、敵をたったの二人でやっつけたのだから。
来夢はみぞれに
「コールドウィンター!」
と言われ、ひんやりと冷やされていた。
冬にこの姿を見ている側は寒いが、来夢自身はとても気持ちよさそうに眠っている。
「来夢が起きたら報告してあげよう。きっと飛び上がって喜ぶと思う。」
「相変わらずですね、ジーナさん。本当は嬉しいのに。」
「みぞれ……黙って?」
「そーですかぁ。私、シャインシックス抜けようかなぁ。」
「え! 嘘! やめて!」
「冗談ですよ。」
「冗談はやめて?」
ジーナとみぞれのこのやりとりを、太陽は平然と見守っているのであった。
⇒三十二話へ続きます!

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