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340.シャインシックス【小説スレ】
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35 :ダーク・ナイト
2023/02/17(金) 18:20:40

第三十三話 「怪しの山小屋 その1」

日が暮れて、空が夕日色に輝き出した。
沈んでゆく太陽の暖かい光に照らされ、三人の後ろに影ができた。
砂漠で寝っ転がって笑い合い、たくさん話をしていた三人は、体を起こして立ち上がった。
背中側にはたくさんの砂がついている。
さっさっと砂をはらった。
砂も一粒一粒日差しに照らされて金色に輝いて見える。
(そうだ。)
とみぞれはひらめいた。
ひらめいたと同時にジーナに、
「ジーナさん、いつかの実体映写を使ってくれませんか?」
とたずねた。
「あぁ、実体映写ね。良いけど何を出せば良い?」
「小瓶を出してもらえますか?本当に小さくて良いので。」
ジーナは超能力を使いやすくするためにパワードレッサーに着替えた。
「よし、準備完了。」
準備を整え、ジーナは深呼吸をした。
「実体映写!」
頭の中には、くっきりと小瓶を思い浮かべた。
透明で小さくて丸っこくて金色の蓋が付いている小瓶………。
すると、ポンッと目の前に一つの小瓶が現れた。
それはまさにジーナが思い浮かべていたものと同じ小瓶だ。
(技成功)
ジーナは心の中でガッツポーズをした。
そして、普通の服に着替えた。
一方、みぞれを見てみると小瓶の中に砂を入れている。
「どうしたの?」
とジーナが聞き、みぞれが持っている小瓶を見た。
みぞれは嬉しそうににこっと微笑んでから答えた。
「見ての通り、砂を小瓶の中に入れているのですよ。感動の思いを詰めて、旅の印にしたいと思って。」
「みぞれって実は優しい心持ってるの?」
「もとから優しいつもりですけど。」
「あ、自分でつもり言った。」
「聞かなかったことにして下さい?」
来夢はそんな二人のやり取りをにこやかに見つめていた。
だが、腕にはめている時計を見て顔色を変えた。
「あの、楽しく話していらっしゃるところ申し訳ないのですが、」
「楽しくは話してないの、来夢。」
「そうですよ!」
二人が必死に来夢の言葉をさえぎった。
来夢はそんな二人の言葉を聞いても微動だにせず、言葉を続けた。
「あそこの林まで行くのですよね?暗くならないうちに行かなければ。」
「あ、そうだった!」
「忘れていました……来夢さん、ありがとうございます!」
来夢は少し照れ顔になったが、すぐに真面目な顔になった。
「では出発しましょう。」
出発と言っても三人はリュックサックを持ってきていない。
ポシェットに少しの食べ物と水、それぞれ小物とパワードレッサーが入っているだけだ。
身軽な体でてくてくと林の方に歩いていった。
⇒三十四話へ続きます!

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