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340.シャインシックス【小説スレ】
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42 :げらっち
2023/03/09(木) 00:25:33
第四十話 「怪し過ぎる山小屋」
西暦200X年。
犯罪集団バリスパーにより荒廃した日本。
ジーナ、みぞれ、来夢の3人は、とある山小屋にてオムライスを食べていた。
この髪色カラフル3人娘は冒険の真っ最中であるのだが、緊張感は存在せず、仲良いのか悪いのかさえよくわからない謎の関係だった。
来夢はオムライスをスプーンに乗せて口元まで運んだが、手を止めた。
「ねえ、ジーナさん。これってあなたの実体映写とやらで生まれたんですよね? 食べて大丈夫なのかしら?」
「失礼な。私の想像力を信じなさいよ。サイケガーデン代表のこの私を!」
そうは言われても、来夢やみぞれには、サイケガーデンがどんなところかイマイチ想像できなかった。
サイケガーデンは異次元にある超能力者の世界らしい。来夢はSFのような近未来都市を、みぞれはお花畑を思い浮かべた。
「ていうかケチャップがかかってないと食べられませんわ」
「来夢って喋り方お嬢様っぽい割に庶民的!」
「私は電気屋の1人娘、庶民中の庶民ですわ。それに庶民でも貴族でもケチャップ抜きでオムライスを食べられるのは人間じゃありませんわ」
「じゃ、ケチャップも出して!」
みぞれはジーナにウインクした。
本当に気持ち悪いウインクだと思いながら、ジーナはケチャップを出現させ、来夢の手に押し付けた。
来夢はケチャップで、ふわふわ玉子のキャンパスに、絵を描いた。
黄色に赤い線で、顔が描かれてゆく。
ジーナはそれを覗き込んだ。
「来夢、何描いてるの?」
「見ればわかるでしょう、ハナマルクエストのアヤノ」
「じゃ、私はジルバの通説のキャラを書くわね」
「マイナー作品を攻めますわね、ジーナさん!」
ジーナは青や緑のケチャップをも出現させ本格的な絵を描き始めた。まさにサイケだ。
2人がにゅるにゅると絵を描いているのを見て、みぞれは創作意欲が湧き上がりうずうずとしていた。
「わ、私も書きます……!」
みぞれは来夢のケチャップをひったくった。
ジーナと来夢はみぞれの描画を見守った。
「何描いてるの?」
「ホリーパッターを……」
「それは天丼工場よ! あなた産業スパイね!?」
3人はケチャップをかけ過ぎてしまい、オムライスは台無しになった。
「で、ジーナさん。私たちは何のため旅をしていたんですっけ?」
「忘れたのみぞれ? バリスパーを倒す6人の戦士を集めるためよ」
「じゃああと3人ですね。どうやって居場所を掴んでいたの?」
ジーナは少しためらった後、「あてずっぽう」と言った。
みぞれと来夢はずっこけて頭をごっちんこした。
「こ、攻略本を見ましょ!」
ジーナは四次元ポケットならぬ無限ポシェットから、本を取り出した。
ペラペラとめくっていき、キャラ紹介のページを開き、床に置いた。
3人はしゃがみ込んでそれを見た。
「私たちが載ってますわねえ」
「えー、私こんな顔でしたっけ?」
「いいからシャラップ。見たいのは4人目以降よ」
「あ、やっぱり4人目は琴平風香って人ですわね」
「5人目は……」
ジーナは5人目、赤髪の少女の概要欄を声に出して読んだ。
「火災現場を通り、無謀にも倒れていた老夫婦を救出した。その後、加熱する能力に目覚めてしまった」
そこまで読んだところで、3人は互いの顔を見合わせ、そして大爆笑した。
「ぎゃっははははは!! なんじゃそりゃ!!」
「老夫婦の救出と加熱能力の開眼になんの因果関係も無くて草生え生えですわ!!!」
「変ですね~!」
「いやみぞれ、あなたも自力で超能力を開発するって割かし変よ」
3人は笑い疲れて、急に冷めた。
「……じゃあ火災現場を探せばいいのね?」
「いや、いっそのこと火災を起こしておびき出しちゃいましょう!」
「さんせーい! いつやる?」
「今すぐ、ですわぁ!」
3人は深夜に関わらず小屋を飛び出し、街に向かった。
琴平風香はその3人娘を物陰から見て呆然としていた。
「ちょ、あたしは!? あたしを仲間にするステージを飛ばさないでよ! 裏ルート!?」
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