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340.シャインシックス【小説スレ】
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46 :げらっち
2023/03/17(金) 20:59:29
第四十三話(?)「可哀想な熊」
夜明けが近いが、まだ辺りは薄暗い。
「こういう時間を彼は誰時(かわたれどき)というんですよ」
「みぞれ、そういうのどうでもいい」
酔っ払ったおじさんは美桜に任せ、4人は当初の予定通り、街にやって来た。5人目の仲間を探すために。
「って、何であたしまで仲間に入ってるの!?」
風香が叫んだ。
「まあイイじゃないですか。それよりやっと本題に戻った事ですし、5人目の仲間をおびき寄せましょう」と来夢。
一方、バリスパー団員・ノースブレイカはこの街を探索していた。
「うひへへへぇ……無防備な匂いがプンプンするぜえ。どうやらこの街はまだ犯罪の魔手という物を知らないようだな。俺様が手当たり次第強盗に入ってやるぜぇ」
二足歩行する白熊であるノースブレイカは、のしのしと歩いていき家の1つに狙いを定めた。
「くんくん。この家は老夫婦が2人きりで暮らしていて子供も孫も滅多に訪れないし年賀状さえ送ってくれない寂寥感溢れる匂いがするぜえ。こういう家は案外貯蓄が多いし強盗に入るにはうってつけなんだよな! どれこのノースブレイカ様の手腕を見せてやるかな」
ノースブレイカはバリスパーのノルマを達成し昇格と賞与を狙うためにも家に侵入しようとした。
するとすぐ近くから声が聞こえたので、彼は飛び上がった。こんな時間帯に外で会話しているのは誰だろうか?
ノースブレイカは巨体を電柱の後ろに隠した。
「火災を起こして5人目をおびき寄せる作戦よ。スパークタイプが有効ね。やっちゃって、来夢!」
「お任せ下さい!!」
ジーナの指示を受け、来夢は目を輝かせた。
「あれ? ノリノリですね、来夢さん。良い事でもあった?」とみぞれ。
「ピカピカレイン!!」
来夢は空に両手を上げた後、ビュンと振り降ろした。電気の雨が降り家屋に直撃、発火した。
「成功ですわぁ! きゃはは!!」
ノースブレイカは目が飛び出すほど驚いた。
「おい!! お前ら何をしている!!」
ノースブレイカは電柱の影から飛び出し、ジーナたちの前に姿を現した。
「あ、バリスパー!」
「お前ら、俺たちより先にこの街を荒らしに来た犯罪組織か?」
「よ、よくわかったわね!」と風香。
「いやあなたは《大会荒らし》でしょう? それも過去の栄光だし」とジーナ。
「ぬぐっ……今の言葉、自信失くすわ……」
炎はすごい勢いで広がっていき、もう家を飲み込みかけている。
「くっ、俺は熱が苦手だがしょうがない!」
ノースブレイカは燃え盛る建物に突っ込んだ。
「大丈夫か? おじいちゃん、おばあちゃん!」
ノースブレイカは老夫婦を抱えて出てきた。老夫婦は咳き込んでいるが、無事なようだ。
「ちょっとぉ! アンタが助けちゃ意味ないですわ!! 私たちの作戦を邪魔しないでくれませんこと!?」
来夢が怒鳴った。
「作戦だと?」
ノースブレイカは老夫婦をそっと道端に寝かせると、雄叫びを上げ、ジーナたちに鋭い爪を向けた。
「放火とはバリスパーでさえやらないような極悪な犯罪だぞ! お前ら成敗してやるから覚悟しろ!!」
ジーナたちは悲鳴を上げた。
すると。
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