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372 :げらっち
2024/11/14(木) 15:36:54
16 絶たれた音
前作同様脇役の層の薄さを感じるものの、犯人と被害者の独特の対立構図により飽きさせない。
ローレンス・ハーヴェイ演じるエメット・クレイトンは病的なまでに神経質でプライドが高いというキャラが唯一無二(そもそも聴覚障害者という設定が他にない)、チェスに関しては天才的だがそれに関しても被害者に遠く及ばない、という構図が面白い。
トムリンは全被害者の中でも特に憎めなく、落ち度がない紳士だが、執拗に命を狙われて可哀想だった…
今回の殺人動機は「金銭」「地位」「保身」「復讐」のいずれでもなく「恐怖」という独特の物だが(保身にも近いが)、2人の演技が上手すぎて納得するのだった。
ローレンス・ハーヴェイはこの作品が放送された年にガンで亡くなってしまっている。あの顔色の悪さは演技ではなかったのだ。
レストランでのチェス対決など見どころが多く、犯人・被害者・コロンボのパワーバランスが最も良い作品の1つだったと思う。
ラスト間近の、チェスプレイ中の対決シーンもかなりの名シーン。
コロンボが自分の頭を小突いて「ここが違うんだよ!」と示すのは、コロンボにしてはかなり露骨だったと思う(今回コロンボは犯人に出し抜かれて目の前で被害者を殺されてしまっており、前作の時ほどではないが内心怒っていたと思われる。コロンボの目の前で人が死ぬのは旧シーズン唯一)。
チェスの王座を巡った殺人が起き、それを解決したコロンボは、チェスの王者よりも更に知能が高い存在、というわけだ。
ラスト、犯人が言い返せなくなった瞬間も、コロンボは勝ち誇ることなくむしろしょんぼりとした表情をしている。
旧シーズンではこういう、「勝利しておきながら殊勝なコロンボ」をよく目にすることができ(『野望の果て』、『第三の終章』等)、新シリーズのニマニマコロンボとはまさに対極と言える。コロンボは別に犯人を打ち負かしたくてやっているのではなく、単に絡まった糸をほどきたいだけなのだ。
今作は原作者であるレヴィンソン&リンクが久々に筆を執っており、これは発展を遂げてきたシリーズの原点回帰&新たな挑戦状のつもりだったのだろう。
最初の殺人が未遂に終わりドギマギする犯人、時間差での死、というのは倒叙ミステリならではの緊迫感は、第1作『殺人処方箋』を更にパワーアップさせた物だった。
前作『溶ける糸』に対抗して作られた、というのもなるほど納得。
個人的には今作の方が好み。人気は溶ける糸の方が高いけどネ。
犬が可愛い。ベンソン医師の所に居たはずなのに何故突然現場に入ってきたのか?そして階段を駆け上がるアクションシーンも。
この時代(70年代)から「神技(かみわざ)」という言葉があったことに少し驚いた。
すごいことを「神」と形容するのは最近になってからだと思っていたのに。
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