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513 :げらっち
2025/05/27(火) 22:31:12
37 さらば提督
問題の回。
どう評価すべきか、非常に難しい…
この作品に関しては、「コロンボシリーズとして」「ミステリとして」「1コンテンツとして」の、3つの側面によって評価が変わってくる気もする。
逆に言えば、『権力の墓穴』、『逆転の構図』など、3つの側面のどこから見ても面白いと言える作品もたくさんある。
さて今回のネタバレだが、旧シリーズで唯一「犯人当て」を扱っている作品である。
『二つの顔』はその露払い的作品と言えたが、今回はそれ以上に、「コロンボらしい謎解き」からはかけ離れている。関係者一同を集めて長々と説明する(推理ショー)一般的ミステリのような内容になっている。
1 コロンボシリーズとしての評価。
今作は「最終回」として用意されたらしい。倒叙が途中から犯人当てに変わるという大仕掛けは、最終回用の特注だったというワケ。
36作品かけて培ってきた倒叙ミステリの伝統を、最後の最後でぶち壊す、というのは、エンターテインメントとしてはアリだったと思う。まあコロンボシリーズは人気を受けてこの先も続くのだが。
前半の倒叙部分にロバート・ヴォーンをレッドへリングとして起用したのは本当に冴えていた。ぱっと見で彼が犯人と思えるし、コロンボがすぐにヴォーンに喰いつくことに何の違和感も無いもの。
但し「コロンボ」と「犯人当て」の親和性の低さは、大問題だった。
コロンボシリーズはあくまで倒叙だから面白いのであって、コロンボの論調で長々と犯人当ての説明や実演をやられると、眠くなる。
最終回だと思って最後の「まだまだやめられませんよ」「もーちょいやらせてもらうよ」を聞くと、謎が解けるかも?
2 ミステリとしての評価。
まずはヴォーンを見せかけの犯人として、更に後半、ジョアナを偽の犯人に仕立てて物語は進行していく。2人にもきちんと動機があるように描かれている。
しかし真犯人は(ネタバレ)漁夫の利で財産を得ようとした甥スワニーだった、というのが結末である。
ミステリとして見るとそつなく最低限のことはできているが、ありきたりすぎて、可も無く不可も無く……といった感じである。
コロンボシリーズで犯人当てをするという特別さが優先され、ミステリそのものは50点レベルの物になってしまったように思う。
そしてミステリとして致命的な問題点だが、演出がかなりわかりにくい。
『二つの顔』もそうだったのだが、視聴者への隠し事を多くする場合は、もう少しわかりやすい誤誘導とネタバラシをしてほしいものである。
3 1コンテンツとしての評価。
2でも書いたが、今作は倒叙であるかないか以前に、単にコンテンツとしてわかりにくく、面白くない。
勿論戦犯は監督のパトリック・マクグーハンだろう。『仮面の男』の時は癖こそあるが何とか見られる作品だったのに対し、今回は1つの映像作品として非常に見にくい。ハッキリ言って退屈する場面がいくつもある。
重要じゃないシーンに尺を裂き、全体的に間延びしているし、ぼかしたような独特の演出が続いたと思ったら、急に凡庸な学芸会的演出(ヴォーンに時間への拘りを指摘するシーン、船尾の名前を見て閃くシーン、そして最後の謎解きにおける諸々の描写)になったりと、本当に何を目指しているかわからなかった。
コロンボが犯人当てをするという特別な脚本を、上手く映像化できなかったように思う。
中でもダメっぷりを披露したのが、金魚の糞のようにコロンボについて回るクレイマーとマックの存在である。
常に性格のよくわからないクレイマーが、今回は特によくわからない存在だったし、マックの性格も全然わからない。そもそもマック、必要か?
コロンボは基本的に単独捜査が持ち味であり、必要性の無い2人もの部下を常に従えているのが、邪魔くさかった。
間違った真相に喰い付いたり、犯人当ての際に意気込んで説明をする人材が必要だったのだろうが、クレイマーとマックは絶妙にその役割を果たせていない。ウィルソンでもいいし、もっとシンプルに空回りするような刑事が1人いれば、わかりやすくなったのではないだろうか?
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