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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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106 :げらっち
2024/05/11(土) 10:24:13
「ところで、お菓子を召し上がらないこと?」
金閣寺は近くの机に置いてあった小皿を取り上げた。
小皿の上にはケーキ。しっとりした薄茶色のスポンジに、クリームと粉砂糖が乗っていて、てっぺんには、ちょこんと苺が立っていた。
「何ですかそれは?」
「シフォンケーキ。わたくしの手作りよ」
「すいません、甘い物あまり好きじゃないので。朝ごはん食べた後だし」
「いいから食べなさい! これは何よりも大切なものでしょう!?」
「は?」
何よりも大切なもの?
「シフォン主義。ギャッはっはっ!!」
金閣寺はヒーヒー言いながらお腹を押さえてうずくまった。
そういえばこの女は美人の割に男子から敬遠されていると聞いたが、なんとなく理由がわかった。
「さて、本題に移ります」
「最初からそうして下さい」
「……という流れで、天堂茂が各クラスに、コボレンジャーを潰すように通達したわ」
その話が終わった時、私のはらわたは煮えくり返りそうだった。のみならず、内臓はこんがりとフライになり、血液は煮沸し、骨に焦げ目が付きそうだ。
「ひきょう!!」
私は立ち上がった。それで金閣寺より頭が高い位置にきた。金閣寺は意外と背が低かった。
「そうね、卑怯感は拭えないわね。怒ったあなたも、キュート感があるわね」
「うるさいな」
私は体を震わせた。怒りが全身に染み渡っていく。
私を標的にするだけならいい。
でも、私が集めた大事な仲間たちにまで手を出そうとするのは、許せない。
天堂茂はそうまでして私たちを潰したいのか。いや、奴の狙いは主に私か? 仲間に手を出されれば私が怒ると見越して、愉悦しているのか?
ここまでくると滑稽だ。私にばかり付きまとって、幼稚だ。ストーカーだ。馬鹿らしい。相手をするだけ、無駄だ。
糖分が足りない。私は金閣寺のシフォンケーキをひったくって口に押し込んだ。
呆れの対象は天堂茂だけではない。接待を伴う飲食を受けた全クラスの首席たちも、腐敗している。
さあ目の前の女はどうだろう。
私が鋭い目を向けると、金閣寺はオバサンみたいに笑った。
「あらぁ、わたくしは違くてよ。わたくしは、あなたの味方。自分のクラスのかわいい後輩ちゃんは全力でお守りするわ」
どうだか。
「ところでだけど。小豆沢サンに、折り入って御願いがあるの」
うげ。
折り入って、つまりサシで話すという意味だが、この言葉が使われた場合は大抵不都合な話が始まるものだ。
金閣寺は私の白い髪の毛を撫で上げて言った。
「一束くれない?」
「は?」
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