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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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107 :げらっち
2024/05/11(土) 10:24:31
「あなたの身体は神秘感があって、とっても綺麗感があるわね!」
明らかに日本語がおかしい。
「これはアルビノっていって、生まれ持ったものです。一定の確率で生まれる障害であって神秘でも何でも無い」
「ノンノン。そんなことはわかっていてよ」
金閣寺は私の髪の毛を指でくるくる巻いた。髪といっても私の細胞でできている私の一部だ。気安く触らないでほしい。
「アルビノの白い身体は魔術に利用できると、昔からの言い伝え的なのがあるのよ」
それは聞いたことがある。
実際に人身売買、手足を切り取る、儀式の生贄にするなど、アルビノに対する迫害は行われてきたし、今も狭小な価値観と古臭い迷信に囚われた大いなる愚か者が、そのようなことを行い続けていると聞く。
日本は差別こそあれ魔女狩りや魔女裁判は無いため、まだましだと思ったことはある。
「ほんとうは指の1・2本欲しかったんだけど、それだとイタイイタイでしょう。髪の毛でいいからほしいの」
……まさか目の前に大いなる愚か者が居ようとは。
「正気なの?」
「ほしいの!」
金閣寺は私の髪を思い切り引っ張った。
「痛い!!」
私はすぐに変身した。
「コボレホワイト!」
金閣寺も同時に変身を済ませた。
「ミコゴールド!」
金閣寺はその名前その髪色そのイロと同じ、金色の戦士と成った。金のスーツに、金の袴。
室内の生徒たちは突然のエンカウントにザワつき、こちらの様子を伺い始めた。
「小豆沢サン? 魔法に精通したわたくしと勝負するような絶望感があることはしない方が良くてよ。大人しく髪の毛を渡しなさい?」
「あげない。禿げちゃうから」
「物分かりのワルイコねぇ。調教して差し上げるわよ! 胸を借りるつもりで掛かってきなさい!」
金閣寺は両手を広げ、胸を突き出した。だる絡みを逃れるにはこいつを倒す以外道は無さそうだ。
私はイメージする。吹雪を起こし目をくらまし、アイスシューズで滑走し逃げよう。
「ブリザード!!」
だが吹雪は、金色の光りによって掻き消された。
金閣寺は手で印を結び、金色の守りを展開している。吹き荒れる雪はそこに届かない。
「こうなりゃ……ツララメラン!」
腕を振り、氷のブーメランを撃ち込む。だが武具は金色の光りにぶつかるなり、水に分解されて消えた。
「甘々のアマチュアねえ。金のカラーの前にはどんなカラーも無為。それにあなたの魔法は稚拙感があるわ? 行き当たりばったりでは強い魔力も豚にルビーよ?」
先輩ぶりやがって。正論なだけにムカつく。
「早く髪の毛を寄越しなさい。でないと戦ー1敗退することになるわよ?」
だが私は秘策を思いついた。こいつに勝てる魔法が1つだけある。
「まだ負けてない。知ってる? とっておきの魔法があるのだけれど」
「何かしら?」
「スマホを消す魔法」
金閣寺はしばしフリーズした後、その意味に気付き、グヒュッ、と汚く笑い、お腹を押さえて倒れた。
「すまほをけすまほう!! それはとっておきね! ギャッはっはっ!!」
金閣寺が笑い転げている間に、私は教室から早退する。いつみ先生が授業をしないならクラスに参加する意味は何も無い。
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