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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
 ┗113

113 :げらっち
2024/05/11(土) 10:44:37

 ポワッと、光りが見えた。
 その光に浮かぶシルエット。人の影。
「おおおお化け!?」
 僕は腰を抜かした。
 いや、何を寝ぼけている。精神が摩耗していたのであろう。あれはお化けではない。
 人だ。
 助かった!!

「おーい、迷ったんだ! 助けてくれ!!!」

 僕はその人影に飛びついた。
 Gフォンの光りに浮かび上がった、どこまでも真っ白い顔。

 小豆沢七海だった。

「げ!!」

 僕はただちに飛び退いた。
 僕のブザマな姿を、一番見られたくない奴に見られた!!! これなら死んだほうがましだ!!

 小豆沢七海は言った。
「汚い手で触れないで?」

「こっちの台詞だ!! 汚いのはお前だ、白い肌の障害女!!! 僕に白いのがうつったらどうしてくれる!! ここから出たら、アルコール消毒液の風呂に入るからな!」
 ここから出たら……
 そうだ。とにかくここから出なくては。小豆沢七海に助けを乞うのは僕のプライドが許さないが、背に腹はかえられない。
「おい小豆沢七海! 教えろ、出口は何処だ」
 しかし小豆沢七海は絶望的な答えをした。ムカつくジェスチャーを交えて。
「ざーんねーん。私も迷子中」
 僕は目の前のクズをぶん殴ってやろうかと思った。しかしそれは野蛮で、体力の無駄だ。拳を振り上げるだけ振り上げてやめた。
 冷静にならなくては。
「お前もここに入ったということは、出口があるということだろう?」
「うん。ちょっと事故って森の中の穴に落ちた。そこから登るのは無理だと思うよ」
「つ、使えない奴!」
「この場合、お互い様じゃない? 2人でミイラになるか、ここから出て殺し合うかの二択だと思うのだけれど」

 相変わらず口の減らない女だ。
 落ちこぼれの分際で、エリートのこの僕に対して、そんな口の聞き方をして許されると思っているのか? 礼儀もなっていないし、目立ちたがりで、どこまでも図々しい。いつか父上に言って、お前を退学にさせてやるからな。
 ……ここから出られればの話だが。

「くそっ」
 僕は小豆沢七海に背を向けた。こんなクズと話していても埒が明かない。
 僕は腹いせに地面を蹴った。すると、爪先が硬い石のようなものに当たり、親指がぐにゃと曲がった。
「いたああああ!!!! 礼儀の無っていない石め、父上に言い付けるぞ!」
「その口癖直したら? 雑魚っぽい」
 小豆沢七海は、痛みに転げる僕を跨いで、石に近寄った。
「あ、これ石じゃないよ」
 小豆沢七海は地面に半分埋まっている何かを、Gフォンで照らし、掘り出した。

「石像だ」

 照らし出されたその小さな像は、金色で、変身した戦士のような姿をしていた。
 その像は!
「貸せ小豆沢!!」
 僕は女の手から像をぶん取った。
 入れ替わりの石像! 実在したのか! 今更こんな物が手に入っても何の意味も無い!! こんな物のために、僕は世界で一番汚らわしい小豆沢七海と、生き埋めになって死ぬんだ!!!
「こんな物!!」
 僕は全ての憎しみを込め、像を地面に叩き付けた。像は呆気なく、バラバラに砕けた。

 いい気味だ。

「何してんの! ガスが!」
「ガスだと?」
 よく見ると、像の残骸から、紫色のガスが漏れていた。
「うげ!!」
 僕は小豆沢七海を引っつかんで、盾にした。
「お前が浴びろ!」
「何すんの!」
 逆に小豆沢七海が僕を引っ張り、ガスを浴びさせる。
「この……死にぞこないの……落ちこぼれめ!!」
 僕と小豆沢はもみくちゃになって、一緒にガスを吸い込んだ。
「ゲホッ!!」
 僕たちは心中するのか!?

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