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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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115 :げらっち
2024/05/11(土) 10:50:41

第11話 白熱のコボレ


《天堂茂》


「ハァ、ハァ、ハァ」

 僕は無我夢中で走っていた。
「出口だ!! た、助かった……」
 地上の光りが見え、僕は安堵して倒れた。いつもより陽光が眩しく感じられたが、それは疲労のせいだろうと思い、余り気にしなかった。
 小豆沢七海は置き去りにしてきた。助かるのは僕1人で十分だ……
 安心したら眠くなった。少し眠……ろう……


「おい起きろ!!」

 ん?

「こんなところで寝やがって! サッサと目を覚ませ!!」

 うっすら目を開けると、僕は森の中に仰向けに倒れていて、戦隊スーツを着た5人程の男たちに取り囲まれていた。
 彼らのスーツは全身を覆う物ではなく、目元や肩、腕、足など、ところどころ露出していた。なんて粗末なんだろう。
「ここは俺たち怒人戦隊ランボージャーのナワバリだぞ!」
「身ぐるみ剥いでやる!!」

 な、なんだと? 野蛮な!
 学園の森に野宿する戦隊が居ると聞いたことがあるが、そいつらか? 
 僕が誰だか理解していないようだ。教えてあげなくてはな。

「わかっているだろうが、僕の父上は、本学園の理事長も務められているのだぞ!!」

 ん!?
 僕は意味の無い声を出した。声を確認するためだけに発する声。
「あー、あー。あ゜ー!?」
 声が軽くて高い。特別に高いというワケでも無いが、これはれっきとした女声だ。
 怪我をしたショックで逆声変りを果たしたのか?

 僕は起き上がり、そこで異変に気付いた。
 体が、変だ。何処がというわけでもないがとにかく変だ。
 怪我でもしたのだろうか。立ち上がろうとすると、バランスを崩しそうになった。

「な、何だこれは!?」

 僕は、スカートを穿いていた。

 何という屈辱!!
 僕が気絶している間に、誰かが穿かせたのか? 僕に凌辱を与えた奴は、すぐにでも退学にしてやるからな!

 ……いや、そういう問題ではなさそうだ。
 スカートをまくると、太い腿は真っ白。黒い靴下に隠されている脛も真っ白のようだ。
「まさか!!」
 次に自分の手のひらを見た。真っ白。袖をめくると腕も真っ白。余りの白さに、血管が少し見えている。
 頭の周りにも違和感。触ってみると、長い髪が肩にまで掛かっている。その毛も、真っ白。

「まさかあああ!! あああああああ!!!」

 僕は意味も無くその場を回転した。
 思い出すのは、入れ替わりの石像。

「何叫んでやがる!!」
「女を見るなんて久しぶりだぜ! 可愛がってやらなきゃな!」
 女!? 女と言ったか? やはりそういうことか?
 野良戦隊共は僕の腕や制服を鷲掴みにした。本当に身ぐるみを剥ぐつもりらしい。
「ま、待て! 僕は天堂……」
 抵抗しようとするも、女になった僕の腕力は弱く、男共の太い腕によって簡単に拘束されてしまった。
 こうなれば変身するしかない。「こいつ」も戦隊証を持ち歩いているだろう。それならば。
「ブレイクアップ!!」
 僕は叫んだ。胸ポケットに戦隊証が入っていたらしく、それが呪文を拾い、僕は戦隊スーツに身を包まれた。さて魔法を行使しよう。しかしどうしよう。「こいつ」はどんな魔法を使うのか……
「このメスガキ、変身しやがった!」
「ランボージャーの秘技を使うぞ!」

「必殺・ランボースクラム!!」

 5人の男は肩を組み、僕を囲うように拘束した。
「やめろおおおおおお!!!」
 僕は叫んだ。すると熱波が飛んで、男たちは仰向けに吹き飛び、木の葉の上に転がった。
「あっつうぅ!!」

 これは僕、「天堂茂」の、炎の魔法だ。
 僕は赤い戦士に変身していた。肉体が入れ替わってもカラーは替わらないのか!
 しかし、多勢に無勢だ。僕は木々の間を駆け抜け逃げる。

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