アマゾン

スレ一覧
380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
 ┗125

125 :げらっち
2024/05/11(土) 11:36:04

《天堂茂》


「やっと見つけたで七海。たく、心配かけやがって!」
「そもそも、公一さんがヘンなサイクリングに七海さんを連れ出すから行方不明になってたんでしょ? しかも七海さんボロボロになって。責任取ってよね」
「そうブヒそうブヒ。佐奈ちゃんの言う通り~!」
「豚あんたに賛同される筋合いは無い」
「佐奈ちゃん厳しいブヒ~! お肩でもお揉みしましょうか? ブヒブヒ」
「触れんな豚!」
「あーうるさいうるさい。チームワークバラバラや。なあ七海?」
 江原公一は僕の肩にポンと手を置いた。

 僕は呆然としながら夜道を歩いていた。
 エリートファイブの4人にコテンパンに負け、しばらく保健室で寝かされた後、こいつらに発見されて、今は寮へと送られている所なんだったか。

 江原公一はゲホゲホと咳き込む。僕はその手を振り払った。
「さわるな。汚い。喘息がうつる」
 江原公一は目を丸くした。
「な、なんやねん。喘息はうつらへんし七海そういうこと言う人だと思わんかったわ。幻滅やわー」
「あらら。夫婦喧嘩?」と鰻佐奈。
「夫婦? ブヒわ~!! 七海ちゃんは僕の物ブヒィ!!」と豚。
「夫婦じゃあらへん。まあお前の物では無いと思うけどな」


 本当にうるさい奴らだ。
 学力が低く、育ちが悪く、見た目も醜く、団結力も無い。最低だ。
 だが今の僕ではどうしようもない。
 エリートファイブの連中は使えない。この姿では僕の寮にも入れないし、父上に言い付けることもできない。八方塞がりだ。
 仕方が無いので屋根のある所で寝るために、大人しく小豆沢七海の寮に運ばれることにしたのだ。

 女子寮が見えてきた。
 質素な寮だ。僕1人の寮の方が大きい。それに女共の寮に入れられるのは、侮辱だ。
 敷地の入り口前で、鰻は男2人をシッシッと追い払った。
「じゃ、ここからはうちが案内するから。2人は早く帰って。男子禁制」
「なんやねんその言い方!」
「七海ちゃんお大事にブヒ~~~!!」
「ごめんね江原くん。豚は滅びろ。早く帰れ」

 鰻は半ば強引に男2人を帰し、僕の背中を押して敷地に入れた。守衛の戦士は微動だにしなかった。
 建物に入ると事務員の女が「お帰りなさい」と言った。ロビーにはエレベーターが待っていて、鰻がボタンを押すとすぐに扉が開いた。
「ほら乗って」
 僕は乗った。その後に鰻が乗り込み、背伸びして4階のボタンを押した。エレベーターは静かに揺れながら上昇する。

 鰻が言った。
「……今日は全然喋らないですね」
 僕は無視した。
「戦ー1で色んな戦隊に狙われて疲れちゃったの? ねえ、自分の部屋の階くらいわかるよね?」
 鰻はぴょんとジャンプし、5階のボタンを押した。跳ばないと押せないのか。この女は随分と小さい。
「エレベーター出たら右に曲がって突き当りの部屋だから。ちゃんとしてよ?」

「余計なおせっかいだチビ」

「!! チビって言うな!」
 鰻はドンッと足を床に叩き付けた。エレベーター内で音はよく反響した。
 直後、4階に着いて扉が開いた。鰻は顔を真っ赤にして、駆け足で去って行った。「絶対おかしいよ。別人みたいだよ。もうコボレンジャー抜けてやるから……」などとブツブツ言っていた。
「ふん」
 他に行くところも無いので、鰻の言っていた、小豆沢七海の部屋に行くとする。

[返信][編集]



[管理事務所]
WHOCARES.JP