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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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128 :げらっち
2024/05/11(土) 11:45:53
「火球カースト!!」
僕は落ちこぼれ4人に、容赦無く炎の塊を被せた。バケツをひっくり返したような、炎の滝。
「げ! なんやねんあれ!!」
「ブヒ~!!」
「やばい!」
僕がカーストの頂点だ! 学年1位だ! エリートの中のエリートだ!!
だが炎は防がれた。何だ? カースト下位の、それも下の下の下の奴らが、僕の炎を防げるわけなど無いのに!
見ると、4人は8本の手を上げて、必死に炎を持ち上げていた。烏合の衆め。それも時間の問題だ。
「火球カースト! 火エラルキー!! 火球カースト!!!」
僕は次々に奴らの上空に炎を出現させ、ドンドン落としていった。
奴らを押し潰す炎がみるみるうちに大きくなっていく。
「もーうダメだ!」
「助けて七海ちゃん!」
「ななみーーー!!」
七海だと?
「みんなお待たせ!!」
草むらから、白い女が現れた。
「小豆沢七海!!?」
何故お前がここに居る!! 僕の体は!!?
「七海ちゃんおそーい!!」
「ちこくま、やで!」
「遅れてメンゴ! ブレイクアップ!」
小豆沢はコボレホワイトに変身すると、巨大な炎を必死で持ち上げている4人の元に滑り込み、一緒になって炎を支え始めた。
「自分から潰れに行くとはお笑いだな! いいだろう、5人まとめてペチャンコに潰してやるぜ!!」
僕の体のことは後で考えればいい。とにかく今はコボレンジャー全員を倒す絶好のチャンスだ。大火傷を負わせ、二度と戦隊として戦えないような身体にして、退学させ、精神的にも、僕に二度と逆らえないようにする。
戦隊としての死を、迎えさせてやる。
「火球カーストォォオオオ!! カーストの最下層め、潰れて死ねよ!!!」
今や5人は、大木ほどもある炎に押されながら、10本の手でそれを支え、堪えていた。
「七海ちゃん、もう限界ブヒ~!!」
「限界からの逆転がクール! 必殺技を使おう!」
「オーケイ七海! その言葉を待ってたで!」
ナニ必殺技?
窮地のお前らがどうあがいた所で、カースト最上位の僕には敵わないと、そう定まっているさ。
しかし。
この後5人が技名を叫んだ時、僕の心は、不意に動いてしまったのだった。
「オチコボレーザー・ペンタ!!!!!」
なんだ?
カッコ悪い技名だ。
だが。
5人がゆっくりと、炎を持ち上げ始めた。
虹とまではいかないが。それには色が足りないが。
キラキラと、5色の、まばゆい光りが漏れている。5本の光りの筋が、僕の炎を押し上げてゆく。
キレイ。
カラフルな仲間。
僕には、無いものだ。
畏敬と畏怖がウラオモテになって、僕の心をぐるぐると回っていた。そうしたら恐れていたことが起きた。
閃光が走り、花火が打ち上げられたように、僕の炎の塊が、上空に吹き飛ばされた。
5人が1つになった技だから、僕1人の技より強いというのか?
チーム戦とは、そういうことなのか!?
コボレホワイトが、コボレグリーンの背を借りてハイジャンプした。
「私の体のまま倒すのは気分が悪いけど、まあ仕方がないや。見た目は私でも、あなたはあなた。仲間が居なかった、あなたの負け」
コボレホワイトはそう告げると、炎と光りが混じったものを、力強くスマッシュした。
魔法の塊が光り輝きながら、僕に向かってくる。
かわそう。
いや、かわせない。
僕はやられる役目にあるのだ。
僕はその光りを、全身で受けた。
痛みは無い。全身で感じたのは、「敗北」だった。
僕は、死ぬのか?
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