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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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13 :げらっち
2024/05/04(土) 13:50:18
第2話 赤と黒
昼下がり。今日はもうすることが無い。
廊下に出たはいいものの、右も左もわからない。どこかにヒントは無いものか。いつみ先生、どこかに行っちゃったし。
「そうだ」
戦隊証と共に1人1人に配布された端末、Gフォンを手にした。かつて人類のほぼ全員が携帯していたというスマホとかいう物に似て非なる。
Gフォンの画面を叩くと、メニューが表示された。機能は電話・時計・ライト・カメラ・アルバム・スケジュール・メモ帳など。ちなみにスマホにはブラウザという物があったらしいが、ネット世界は《赤の日》に滅亡したらしくもう存在しないため、そのような機能は無い。
メール、という物もあった。メールねえ。友達の居ない私には、無用。
校内マップ。これは便利そうだ。戦隊学園は1つのシティほどの広大な敷地を誇り、1日では回り切れないらしいし、道標があるのは助かる。そのアイコンをタップすると、画面に校内の見取り図が表示された。
……何だこりゃ。
校舎や寮を除く多くの場所が「???」と表示されており全体像が掴めない。マップの意味を成していないじゃないか。自分で歩き回って把握しろ、という試練か。この世界は常に道標があるほど甘くないという教訓か。
取り敢えず腹ごしらえできる場所を探した。5階に学生食堂があるらしいので、行ってみることにした。
食堂に入るなり、数多の視線が注がれた。
余程私の容姿が気になるのだろう。私は怯まずに、1人1人ご丁寧に見返してやった。
あなたはベージュ。あなたは藍。あなたは翡翠。あなたは焦げ茶。あなたは銀。見せてくれてありがとう。
食堂は大混雑だった。そりゃあ、学食は「タダ」なのだから当然だ。いくらでもおかわり自由。
トレイとスプーンを取って、カウンターの行列に並ぶ。長蛇の列ができていたけど、私の前後の人は、自然と私とソーシャルディスタンスを取っていた。そんなに私が嫌か。私もあなたたちが嫌なのでちょうどいい。何処からか「白ぉ!」などと聞こえてくる。「肌色ぉ!」と返してやりたいが黙っておこう。
しばらくすると私の番がきた。私はメニューに目を通して、カウンターのおばさんに言う。
「レッド定食大盛りで」
「あいよー」
割烹着を着ている太めのおばさんはにこにこしていた。私に笑顔を向けてくれる人はそう多く居ない。
「元気出して! アタシは差別とか全然しないから!」
差別してくれて有難う。
「何かあったら相談して良いのよ! よくアタシの所に、友達の居ない子が相談しに来るの! はいレッド定食大盛りね!!」
その心のイロは、見下すような寒色。全部見えてるよ。
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