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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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159 :げらっち
2024/06/01(土) 13:10:19
「佐奈待って!」
多くの生徒が、ジュウキオウと同じ目線になろうと階段を駆け上がっていたが、私は違った。
階段を駆け下りる佐奈を追いかけていた。興奮して階段を登る生徒たちの合間を、するすると縫ってゆく佐奈。こういう時、小柄は役に立ちそうだ。
私はすれ違う人々と何度も肩をぶつけながら、飛び降りるように佐奈との差を縮めていく。どうやら彼女は地下にある機械クラスに行くつもりらしい。
喧騒の去った1階の廊下で、ようやく彼女に追いついた。
「待ってよ!」
私は佐奈の両肩を掴んだ。
佐奈は振り向く。私はドキっとしてしまった。
佐奈が涙目だったからである。
「ど、どったの?」
「あんなの見せられて、同じ機械クラスとして黙ってられるわけない。デザインジャーにはさんざチビって馬鹿にされたし、早くうちもおっきいロボ作って、見返してやりたい」
確かに佐奈は4フィート8インチ程度と小さい。私はつい、佐奈の頭を撫でようと手を出してしまったが、咄嗟に引っ込めて自分の唇を掻くのに使った。佐奈は子供扱いされるのが嫌いだ。
慰めようにも難儀する。
私は言葉を選んだ。
「コンプレックスって辛いよね。私もコンプレックスの塊みたいなものだから」
佐奈は黙りこくる。
「小中学生の頃は白いのをさんざ馬鹿にされた。まあ今もだけど。当時は友達も全然居なかった」
「うちも全然居なかった。チビって虐められてたから」
負のマウント取り合戦が始まる。どちらがより深い海溝まで潜れるかの勝負だ。
「私たち、似た者同士だよね。でも今はさ、仲間が居る。みんなで作戦を考えようよ。それが戦隊」
私たちの元に、楓と豚も追いついてきた。
「そうだよ! 同じチームの仲間じゃん、さっちゃん!」と楓。
佐奈はちょっとだけほだされそうになったか、ジャージの裾で涙を拭いた。
「ブヒブヒ。仲良くするブヒ。ね、さっちゃん?」
豚のこの一言は余計だった。
佐奈は卑屈に早戻り。
「あのさぁ……あんたもうちをチビって言ったよね? 馴れ馴れしく呼ばないでくれる。うちの恨みが消えると思ったら、大間違いだからね。末代まで持ち越しますからね? まあうちの遺伝子は当座で消えそうだけども」
私はつとめて明るい声を出し、何とか場を取り繕う。
「と、とにかくさ! 寝てる公一も叩き起こして、5人で巨大兵器について作戦会議しようよ」
「おい、チビ共」
誰かの声。
「チビって言うな!!」
佐奈は憤慨した。でも今は、チビという言葉は佐奈1人ではなく、私や豚も含めた全員に向けられているようだった。
廊下の向こうから、巨漢の集団がやってきた。
全員が着物に身を包み、髷を結っている。豚と同じくこれは力士の格好だ。全員が豚よりもはるかにデカい。皆2メートル以上あるように見えた。これならば180センチあろうとチビ扱いになる。
私は佐奈たちを守るように、巨漢の前に立ちはだかった。
「今取り込み中。あなたたち誰?」
「相撲戦隊ドスコイジャーだ。お前らオチコボレンジャーに、戦ー1の勝負を挑みたい」
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