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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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162 :げらっち
2024/06/01(土) 13:11:28
「は? 何あれ? 卑怯ってかクズじゃね? きっも&うっざ略してきもうざ! あんなの相撲じゃないし! 反則だよ反則!! 訴えてやる! 豚、あんなの負けたうちに入らないよ!! ここから六日間が本番だと思って行こ!」
楓は升席を飛び降り豚の元に行くと、脳内のペラペラな辞書からありったけのボキャブラリーを引っ張り出して相手を罵り、豚を励ましていた。
それでも豚は落ち込んでいて、無言で花道を下がって行った。
「楓、今はそっとしてあげよう」
変化とは、立ち合いのぶつかり合いで、相手をかわすことにより白星をもぎ取るという技だ。反則でこそないが、通常は忌まれる。
だが天下のドスコイジャーがコボレンジャーに対し行うのは許されるようだ。それほどコボレが舐められてるってことだ。
私と楓は寮に戻った。
私たちの部屋は、かなりごちゃついている。
私は整理が好きだ。要らない物も要る物もなんでも捨ててしまいがち。世間ではミニマリストと賛美されるが私が思うにこれは自閉症。
楓は私と反対で、何でもかんでもしまわないし捨てられない。程よくごちゃごちゃしているほうが居心地がいいんだそうだ。チョコの銀紙や青りんごの芯や白菜まで散乱している無秩序。
私が片付けても楓がすぐに汚す。楓にとっては、自身が汚しても私によってすぐに片されると思っている。餅つきの要領で、ある意味で阿吽の呼吸である。
今この部屋は私の自閉と楓のADHDの陣取り合戦で、楓に軍配が上がっている状況だ。
「流石、あほでも駄目でも本気でドカン! だよ楓」
すると、物の多い室内に、見たことの無い物があった。茶ぶ台の上に便箋が乗っていたのだ。
それは、昨日から行方不明になっていた佐奈からの手紙だった。
「あれ? 鍵掛かってたのにどうやってここに置いたんだろ?」
私は不審に思いつつもそれを手に取った。そこには意味深なメッセージが書かれていた。
《七海さんの部屋の近くに引っ越しゅぅ》
「どういうイミ?」と楓。
「……わかんないな。隣の部屋は埋まってるし」
隣室の機会的同性愛のカップルを追い出して部屋を奪ったというなら話は別だが。
「まあいいや、あたしシャワー浴びてくるから。早くムカついたのを洗い流さないと!」
楓は赤パジャマ青パジャマ黄パジャマのうち、青を手に浴室へ向かって行った。
どうしよう。とりあえず。
「宿題でもするか」
筆箱を寝床に置いてきてしまった。私は2段ベッドに上がろうと、梯子に手を掛ける。すると変なものが目に入った。
「あれ?」
ベッド脇の床に四角い囲いがあり、取っ手のようなものが付いているではないか。
「こんなとこに床下収納あったっけか」
ストレージがあれば多すぎる楓の私物、というかゴミを何とかできるかもしれない。
私は取っ手を引っ張り、持ち上げてみた。思ったより軽くて拍子抜けした。ちょうつがいを軸に、床の一部が開いた。
「なにこれ!」
それは収納などではなかった。
梯子が階下へと伸びていた。ここは5階なので、4階に続いているのだろうか。
私は好奇心の命令に逆らえず、ギリギリ人が通れるほどの隙間に入り、梯子を降りて行った。豚の様な太った人には通れないだろう。
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