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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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163 :げらっち
2024/06/01(土) 13:11:51
私の部屋の「真下」に位置する部屋に着いた。
寮の他人の部屋に入るのは初めてだ。しげしげと室内を見回す。
間取りは私たちの部屋とそっくり同じ。でも家具や雰囲気が、まるで違う。別次元に来たような不可思議な感覚だ。
閉め切られたカーテン。ごちゃごちゃした私たちの部屋とは違い整然としており、2段ベッドではなく1人用の、それも子供部屋にありそうな小振りなベッドがあるのみ。
かわりに目につくのは大きな本棚だ。本、本、本がびっしり並んでいる。
「誰も居ないのか……ん!?」
よく見れば人が居るではないか。
子供用の勉強机、背中を丸めてパソコンを打っている小さな人影。擬態しているかのように、部屋の風景に溶け込んでいるがあれは。
「佐奈!!」
モノクロのシックなパジャマを着た佐奈だった。
いつもポニテの彼女が髪を下ろしているのを初めて見た。腰に届くほど長い黒髪は、つややかだ。
「引っ越しゅぅってこういうイミだったの?」
佐奈はキャスター付きの椅子を反転させてこちらを見上げ、丸眼鏡を押し上げた。
「あふぅ……見つかったか。まぁわざと見つかるように誘導したんですけどね。相部屋の奴が生理的に受け付けないので引っ越してきました。よろしくです」
確かに真下なら「近く」と言える。
「よろしくです」
そういえば佐奈は以前、ルームメイトの人が嫌いと言っていた。
「相部屋の子、どんなだったの?」
それに対する佐奈の科白はこうだった。
「ハァ。それを問うか。話題にするのもヤだけど七海さんが知りたいって言うなら特別教える。他の人には言わないからね? 七海さんにだけひっそりこっそりお話するんだよ? ハァ……やっぱりヤだな。でも覚悟して言う。ちょっと深呼吸だけさせて下さい。はぁぁ~。落ち着くう。じゃあ言うね。あのね。相部屋の牛島クラビット愛理って奴は、毎日してたの。何をって、アレを。アレだよアレ。何だと思ってるの? 違うよ、通話だよ通話。つ・う・わ、わかる? Gフォンの通話機能ですよ。それもブサボの大声で。うるさいったらありゃしない。お耳が馬鹿んなっちゃいますよ。あーまだ幻聴が聞こえる。こら他人の話は最後まで聞きなさい話の味噌はココからです。でさ、そいつの相手が誰だと思う? は? 家族? んなわけねーだろ家族なら許せる。友人でもまだ……ギリ許せる。こちらの精神状況にもよりけりだけど。じゃなくって。ほんともうお前は勘が悪いな。男の人なんですよ。そう。カレシなんですよ!! わけわかんなくない? こっちは生を受けてこの方15年以上カレシのカの字も居ないのにあいつは10歳の頃から付き合ってるとか言って平日は4時間土曜は10時間日曜なんて12時間くらいいちゃらぶ通話してんの1日平均約6時間ですよ頭おかしくないっすか1日の4分の1ですよクウォーターですよいや別にうちがカレシ欲しいとかそういう意味じゃない絶対にない欲しくないうちの嫁はロボなんだ。けど聞いてると反吐が出そうになるんですよ実際吐いた事も2・3度。好きとか愛してるとか学園の外に居るカレシに早く会いたくてうずうずしちゃってるんだとか知るかよせめて外でやれようるさくて作業に集中できねえっつってんだよよく寝れねえんだよこっちはよ1人部屋じゃねえんだから配慮しろよそりゃあこっちだって独り言ブツブツ言いながら作業してるけどさまるでうちの存在が無いかのように大っぴらにいやん♡とか言ってるとぶっ殺したくなるんだよ死ねよいや死ぬ程の大罪でも無いか温情を与えてやろう別れれば許してやる別れろよそれかリア充全員ブスに整形してやるよ身長縮まして太らしてやるよやりたいけどできないので現実逃避の結果先生に6時間にわたり直談判して特別に1人部屋OKにしてもらいこの部屋に移住しました。難民です。受け入れて♡」
途中から聴覚が自然と仕事を放棄し音を遮断して視覚優位になったので私は部屋の本を数えるなどして過ごしていたがやっと話が終わったようで、なおかつ最後の言葉にハートが添えられていることだけは認識できたので、取り敢えず「そうだね♡」と返答した。
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