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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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168 :げらっち
2024/06/01(土) 13:25:01

第15話 ショッキング・ピンクな巨大化


 私の見上げる先、豚ノ助は、土俵のド真ん中に大の字に倒れていた。

 力士としての矜持と、コボレンジャーの命運を賭けた大一番。

 負けた。

 これで一勝四敗、負け越しとなる。それはコボレンジャーの戦ー1敗退を意味する……

「コボレピンク~!」

 正反対の勝ち名乗りが上がった。
 軍配は西、つまり、豚に上がっていた。
 相手力士の青竜丸は、歓声を引き裂くような大声で問い正した。
「おかしいだろうがぁ!!」
「お静かに」
 行司は言った。
「ヒットウブルーが俵に足を掛けた際、指が一瞬だけ土俵の外に出て砂を払った。これによりコボレピンクの押し出しとなる」

 会場は騒然となった。

 でも一番驚いているのは張本豚の様だった。自分が勝ったとは到底理解できていないようで、まだ起き上がることもできぬまま、目をぱちくりとさせていた。
 青竜丸はゴーグルの下、険しい目で土俵下に視線を飛ばした。赤房下に居た横綱・赤鵬が立ち上がった。
「俺は見ていたが足は出ていなかった。いんちきを言うんじゃねえよ行司。バラされてぇのか?」

「何やて? 行司の言うことが信じられへんのか!?」

「あ!」
 私はようやく察した。あの関西弁は。
「公一!」
 目をこすってよく見ると、紫色の衣装を着た行司は、江原公一その人だった。
 観客は土俵上の力士ばかりに注目して、行司などきちんと見やしない。その盲点を突いて、そして自身の影の薄さを利用して変装するとは、流石だ。順調に父親に近付きつつある。

 大事な潜入活動とはこのことだったのか。

 行司になりすまして、豚に有利になるように勝敗を操作する。公一はコボレの為に動いてくれていたんだ。
 私は彼を突き放したことを悔いた。

 ごめんね、公一。

 館内に放送が入った。
『軍配は西方力士に上がりましたが、ビデオを確認したところ、そのような事実は確認されませんでした。よって、行司差し違えとなります』

「何やて?」
 青竜丸はガッツポーズをし、行司に思い切り肩をぶつけた。
「撮ってんなら最初から言わんかい! 行司の居る意味ないやんか!」

 あーあ、詰めが甘いよ公一。

 楓は隣で苦笑いしていた。

「じゃ、じゃあこんならどうや! ごほん……青竜丸は立ち合いできちんと手をつかなかった。よってこの一番は無効、取り直しとなる」

 これも公一のでっち上げだろうが、今度こそ行司の判断は正とされた。
「きゅ、九死に一生ブヒ!」
 豚はようやく起き上がり、仕切り線に戻った。豚はまだ行司の正体が味方であると気付いていないようだ。

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