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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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169 :げらっち
2024/06/01(土) 13:25:24

 豚と青竜丸は、両手を仕切り線について、再度睨み合った。
「しゃらくせぇさっさと勝負をつけてやる」
 取り直しの一番、青竜丸は時間一杯まで待たず、最初の仕切りで突然立った。行事は慌てたが、相撲は何も行事の合図で取り組むわけではない。力士同士のタイミングで立ち合いは成立する。
「ブヒ!?」
 奇襲、豚は一気に俵まで持っていかれる。黄色い砂塵が舞い、豚の足裏が摩耗する擦れた音がした。
「負けるかブヒ!!」
 豚は相手の顔を激しく張った。さっきのお返しというワケだ。
「てめぇ!」
 青竜丸も張り返す。
「ブヒブヒ~!!」
 張り手の応報、喧嘩相撲だ。観客席からは盛大な野次が飛ぶ。
 豚は太い腕で相手を仕留めようとするも機動力で負け、顔面をタコ殴りにされ、マスク越しに鼻血が染みているのが分かった。

「助けてぇ!!」

 豚は行司の後ろに隠れた。
「あ、何しとんねんあほ!」
「邪魔だ行司、どけやゴラァ」
 青竜丸は、行司である公一にも容赦なく突っ張りを入れた。
「行司に手を出したら反則やで~!」
 ひょろひょろな公一は、たったの一撃で升席まで吹っ飛んで行った。

「邪魔者はもう居ねぇ、サシで勝負だ」
「ブヒャ~、タンマタンマ!!」
 豚は土俵際を逃げ回る。まるで鬼ごっこだ。
 豚が私の丁度見上げる先に来た時、青竜丸が豚を捕まえた。
「逃がすかよぉ!!」
 豚はガッチリと捕らえられ、がぶり寄られる。大きな背中が何とか堪えている。既に青色吐息だ。

 このままでは負ける。

 一緒に相撲を取りたいくらいだ。

 私は女だし、力も無いので、土俵に上がることはできない。
 でも。
 声を出し、彼の背中を押すことならできる。
 そうすれば一緒に相撲を取れる。

「負けんな!!!」

「七海ちゃん!」
 豚は私の声に応えた。豚は土俵際、最後の力で投げを打った。両者の体が土俵外に飛んだ。

 2つの巨体が回転しながら、私の方に落ちてくる。
 総重量250キロは超えるだろうか。そんな計算をしている場合じゃない。
「うわ!!」
 ドスン!! 私は豚のでかい腹に押し潰された。

 土がついたのは青竜丸だった。
「ビデオ判定だ! ビデオ判定しろ!」
 青竜丸は土俵下で叫んでいる。でも青竜丸が先に落ちたのは、誰の目から見ても明白だった。
 観客たちは座布団を乱れ投げしていた。

「な、七海ちゃんダイジョウブヒ!?」

 豚は腹ばいに私を下敷きにする格好になっていたが、すぐに起き上がり、私がクラッシュシンドロームになるのを防いだ。
 私はサムズアップを見せた。
「大丈夫。勝ったね、やるじゃん」
「七海ちゃんのお陰ブヒ!」
 豚は勝ち名乗りを受けに土俵に戻ろうとするが。

「う!!」

 立ち上がった瞬間に足がぐにゃ、と折れ曲がり、うずくまった。
「あなたこそ大丈夫!?」

 豚は土俵から落ちた際に、足を負傷してしまったようだ。

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