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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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172 :げらっち
2024/06/01(土) 13:26:23

 髷を下ろした豚ノ助は、女子のように髪が長かった。
 太い手足、垂れ下がった胸や腹。豚の名にふさわしい醜男。
 うちは逃げようとした。でも誰が遊んだのか知らないが、足元にあったあひるのおもちゃを踏ん付け、思いっ切りすっ転んだ。

「きゃあ!!」

 その途端、右ふくらはぎに逃れようのない痛み。足がつったみたいだ。
 うちはタイルをバンバン叩く。ギブしてもこの痛みは容赦なんかしてくれないけど。

「さ、さっちゃん?」
 豚はうちの存在に気付いたようで、ドスドス地鳴りを起こしてこっちに来た。

 く、くるなああああああああ!!!!!

 うちはうつ伏せに倒れたまま立つことができない。タオルで体をコーティングしているからまだいいものの。
「どこかぶつけたブヒか?」
 豚は屈みこみ、患部を確かめようとした。
「ち、違う!! 転んだ途端に足がつっただけ!! あっち行け!」
 うちはこの痛みが一刻も早く引くように、ふくらはぎをさすっていた。
「運動不足ブヒね」
「うっさい!! ていうか何で女湯にいるの? ヘンタイなの??」

「え? 今は男湯ブヒよ。ここ23時以降は男湯に切り替わるから」


 うちは、下手をすると憤死するところだった。
「七海さん殺してやる」
「え? なんか言ったブヒ?」
 豚はキョトンとしていた。
「まあ僕しか居ないから問題ないブヒ」
 問題大ありだ。
「この時間人少ないらしいし、一緒にあったまるブヒ~。僕も公一くんに言われて、初めて来たんだけど」

「江原くんに?」
 うちは全てを察した。

「……うちらを引き合わせようって魂胆か……」

 地獄の痛みが、ようやっと引いてきた。
 うちはよろよろ立ち上がり、出口を目指して歩いた。
「さっちゃん! どこ行くブヒ?」
「帰る」
 やはり来なけりゃよかった。
 扉を開ける。その瞬間冷風に吹かれ、温度差がヒートショックを引き起こした。立ち眩みに襲われ、うちは再び倒れた。

「さっちゃん!!」

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