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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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176 :げらっち
2024/06/01(土) 13:28:35
《豚ノ助》
三勝三敗で迎えた千秋楽の大一番は、通常の土俵では行われなかった。
昨日の相撲により土俵に亀裂が入ったのもその一因だけど、それよりも……
デカくなりすぎて、土俵に入りきらなくなったブヒ。
僕は一歩、足を踏み出した。
ドスン!!
それだけで校舎はぐらつき、悲鳴が聞こえた。
多くの校舎を超えるほどの長身となった僕は、ちっぽけな建物を壊さないように気を付けながらグラウンドに向かった。
僕は今約25メートルある。この学園で僕よりのっぽなのは、10階建ての中央校舎くらいだ。
僕は鋼鉄のグラブとブーツを履いて、横綱の化粧廻しの様な装甲を付け、頭はヘルメットで覆っていた。
レッドグラウンドには、大きな大きな土俵が敷設されていた。
みんなには巨大に思えるだろう。でも今の僕にとっては、あれが普通の土俵だ。
僕はゆっくりと、行司の存在しない土俵に上がった。
土俵に立ち、戦隊学園の敷地を一望する。坂の上には寮があり、遠くには農園や戦隊動物園までもが見えた。
「絶景ブヒ!!」
ここまでピッグ、じゃなくてビッグになると、気分が良い。
僕は昨夜、さっちゃんに肉体改造を施された。
さっちゃんは「アップデート」という独自の呪文で、僕に強い電気の魔法を浴びせた。僕は「ブヒィィィィ!!!!!」と、一生分叫んだ。体が張り裂けるかと思った。「歯を喰いしばれぇ!」とドSなさっちゃん。アーマーに更に部品が継ぎ足されていき、僕の体は質量が増えていった。僕は機械と融合し、巨大化した。
こうして僕は、巨大兵器と成ったブヒ!!
真っ赤な実況ヘリが飛来する。
『心はレディーのジェントルメンも! 見た目はボーイのガールズも! 実況はおなじみ、配信戦隊ジッキョウジャーの実況者YUTA! まずは西から、コボレンジャーの巨大兵器、メカノ助の入場だ! 学園最弱とも噂された虹光戦隊コボレンジャーは、この一番に戦ー1の進退を賭けマス!』
観客たちは校舎の窓から僕を見上げている。
豆粒のようなそれらの中に、美しい純白を見つけた。
「がんばれ、豚ノ助!」
屋上で手を振る七海ちゃん。楓ちゃんと公一くんも居る。
僕はうんと頷いた。
七海ちゃんは、惚れ惚れするほど強く、美しい……
僕に匹敵するほどの喰いっぷりも目を引く。
この一番に勝ったら、七海ちゃんにカレー10杯分くらい褒めてもらうブヒィ……
よそ見すんな!!
僕を叱責するさっちゃんの声が聞こえたような気がした。体がピリッと痺れ、緊張感が漂う。
さっちゃんの言う通りだ。目の前の一番に集中しなくては。星勘定は必要ない。
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