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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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178 :げらっち
2024/06/01(土) 13:29:42
僕は屈み込んで相手を待った。
奇塊鵬はゆっくりと、4本の腕のうちの2本を、太い仕切り線に付けた。
今だ!!
僕は変化を恐れず、全身全霊で、真っ直ぐにぶつかった。
奇塊鵬も同時に立った。流石は横綱。ここは変化などせずに正面から僕を受け止めた。
金属のぶつかり合う衝突音、幾つかのパーツが外れ校舎に降り注いだ。
力士同士のぶつかり合いは凄まじいが、それが巨大ロボともなると尚更だ。
ドン! ドン! 重たい突きを何発も喰らう。突き放され、土煙が上がった。
メタルのボディでも痛みを感じる。細胞と回線がダメージを受け緊急信号を出し、全身が興奮する。痛い。痛い。
でもこの程度の痛みは平気だ。七海ちゃんは赤鵬に激しい突っ張りを入れられたことがあった。それでも七海ちゃんは弱音を吐かなかった。その強さを見習うと同時に、そんな彼女が、いじらしく思えた。
「七海ちゃんの分ブヒ!!」
僕は相手の顔を張った。頭部がぐるぐる回転し、ぴたりと止まった。
「ケツの青い豚野郎!!」
キレた赤鵬はロボを猛進させた。突っ込んでくる。
僕も真っ直ぐに突っ込む。力の勝負ブヒ!!
「いなして!!」
頭の中。バチっと電気が流れた。さっちゃんが僕に指令を出したんだ。
「ブヒィッ!」
脳が焼けるように痛み、体が勝手に動く。僕の体は、僕の意思よりも操縦士の指令を優先させた。歩をずらして相手をはたいた。さっちゃんの判断が正しかった。僕は相手の力をうまく逃がし、奇塊鵬はよろけた。さっちゃんは僕のブレーンだ。ちっぽけな存在ではない。次の一瞬で出るのはさっちゃんの分析よりも僕の相撲勘だ。僕は1秒にも満たない隙を逃さず、思い切り相手を突いた。
破壊音、その一撃は強烈。
奇塊鵬は大きく仰け反る。明らかな死に体だ。
さっちゃんが言った。
「やったか!?」
まだだ。
奇塊鵬はぐるんと逆立ちした。腕だった部分が足となり、足が腕となる。そして何事も無かったかのように動き出した。
『やはりこのロボにも一工夫あった! デザインジャー製にハズレなしぃいい!!』
観客たちから万歳三唱が湧き上がる。
「バンザーイ! バンザーイ! バンザーイ!」
奇塊鵬は4本の腕で万歳をした後、その4つをフル回転させ僕を滅多打ちにした。
「ブヒャ~!!」
「いや、手付いた時点で負けっしょ? はぁ!?」
さっちゃんは怒鳴っていた。
「意味わかんねぇ! メカノ助、しっかりやれ! やらねぇと鉄屑のスクラップにすっからな!!」
「鉄屑のスクラップは嫌ブヒ~!」
でも、体が熱く、思うように動けない。体中から煙が出ている。オーバーヒートだ。退こうとするも、4本の腕で掴まれ、吊り上げられた。
「まずいブヒ!!」
「顔じゃねえよ!!」
僕は思い切り投げ飛ばされた。このままでは土俵の外に落ちる……
「八艘フライング!!」
さっちゃんが再び指示を出した。ゴォッと轟音、僕は背中から、そして足から火を噴いた。
僕はジェットエンジンで宙を飛んでいた。
爆風が吹き付け、校舎の窓ガラスが割れた。生徒たちの悲鳴が聞こえる。
『メカノ助、空を飛んでいる!! 勝負は最後まで分からない!!』
「反則だろ!」と赤鵬。
「反則はお互い様ブヒよ」
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