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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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18 :げらっち
2024/05/04(土) 14:06:48

 楓はGフォンで今後のスケジュールを確認して教えてくれた。4月中は戦隊のユニット決めなどを行い比較的自由に過ごすことができるらしく、5月初めに最初のテストがあり、その後本格的な授業が始まるらしい。
 しばらくはのんびりできるってわけだ。

 初めての寮の夜は、慣れずに眠れないかと思ったが、疲れとベッドの寝心地の良さもあって、22時には眠りのスカウトがきた。


 朝8時に起き、昨夜コンビニで買っておいたお弁当を朝ごはんにする。白身魚のムニエル、良い味付けだ。
 楓は朝食の席でGフォンをいじっていた。行儀が悪い。
 Gフォンは黒く無機質無個性だが、楓はそこにノコギリエイのストラップを付け、早くもオリジナリティを出していた。
「楓って動物好きなの?」
「好きだよー。見てこれ!」
 楓は右手首にヘアゴムのような物を付けていた。茶色くて縞模様だ。楓は短髪をカチューシャでまとめており、束ねるほど長くないのでヘアゴムは要らないと思うのだが。
「ミミズのミサンガだよー! 友達ができますようにって」
 白身魚の骨が喉に突き刺さって死にかけた。そんなのを付けてたら友達ができない。
「そうだ七海ちゃん! 連絡先交換しとこうよ!」
「別にいいけど」
 食事中にご法度とは言え、私もGフォンを開く。すると、間違ってメールではなくスケジュールの方を開いてしまった。
「ん!?」
 今日のスケジュールが目に入る。

「……これ、今日9時からオリエンテーションって書いてあるじゃん!! どういう事!? あなた昨夜スケジュール確認してたよね!?」

「え」
 楓は薄笑いを浮かべて目の焦点はズレている。
「え? え、えー!? えー?」

 私は、この学校生活で何より大事なことを学んだ。楓の言葉は信用してはいけないという事だ。

 既に8時半。
 時間が無いので優先順位の高い服薬とトイレを済まし残りの弁当はラップをかけて冷凍庫にぶち込み歯磨きは省略し急いで着替え寮を出た。

 女子寮の敷地を出る際、楓は守衛に明るくあいさつした。
「行ってきま~す!」
 するとさすまたを持った赤い戦士は答えた。
「行ってらっしゃい。もうみんな出発したよ。でも急いで怪我しないように気を付けるんだよ」

 喋れるのか!!!
 ていうか、優しいな!

「ほら楓、喋ってないで行くよ!」

 バスに飛び乗り、何とか3分前に指定の西校舎、3階の教室に到着した。
「ギリセーフぅ!!」
 私たちは教室に滑り込んだ。

「おやおや、遅刻とは先が思いやられるな、小豆沢七海!!」

 高飛車な声が聞こえる。天堂茂だ。彼を取り囲んでいた男女がぎゃははと笑った。もうあんなに取り巻きを作っているのか。
「お前はすっかり退学したと思っていたのだがな。それとも真っ白い亡霊か?」
 私はそれを無視した。

 教室というよりは講堂のようで、映画館のように高低差のある座席が、教壇に対し半円を描くように並んでいた。
 私と楓は空いている席を何とか見つけ出し、1人しか座れないようなスペースに強引に2人で入り込んだ。

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