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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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184 :げらっち
2024/06/06(木) 17:21:05
1時限目の授業。
教室としては広めだが、ホールとしては狭い、ここは魔法クラスの訓練室。
普段は何の変哲も無い内装だが、今は先生の術により、屋外に居るかのように思えた。私の周りには瓦礫が散らばり、半壊した建物からは白煙が上がっている。見上げる先は曇天。その向こうに天井があるとは思えない。
本当に《外の世界》に居るような感覚だ。
学園でもシティでも無い場所、それが外の世界。戦隊連合と悪の組織が戦争し、怪人が闊歩する無法地帯。
私は変身した状態で、地面の黄土を踏みしめた。灰色の瓦礫の向こうから、刹那何かが飛び出した。
のっぺらぼー。
顔はマネキンのように無機質で真ん丸。焼けただれた衣類を纏った、いつみ先生曰く「怪人の死骸」。
「フリーズ!」
私はそれを凍らせた。全身が硬直し、棒立ちになる怪人。
だが一体だけでは終わらない。振り向くと、街の残骸の至る所から怪人が飛び出していた。音も無く殺気も伴わず、ただこっちに来る。
「フリーズ! フリーズ! フリーズ!」
端から凍らせていく。
「ツララブレード!」
とどめは氷の剣による斬撃だ。私は氷柱を生やすように手から刃を生み出すと、氷の彫刻となっている怪人たちを、バラバラにかち割った。
ぴた。
私の左肩に、死人の手が乗った。気配も殺意も無い怪人はいつの間にか背後に居た。私はすぐさま振り向き、
「アイスピック!!」
渾身の魔の一撃で、怪人の胴に穴を開けた。腕が引き裂け、私の肩には怪人の前腕がぶら下がっている状態になった。私はそれを掴み、地面に叩き付けた。
訓練終了のメロディが流れ、街は消え失せ、元の教室に戻った。
私は肩で荒く息をしていた。床には怪人の破片が散らばっている。
先生が訓練室の扉を開け、拍手をしながら入ってきた。
「ブラボー、ブラボー♪」
私は変身を解き、息の塊を吐き出しながら、一気に言った。
「褒めるだけじゃなくて悪い点も言ってくれないと参考にならないです」
いつみ先生は有邪気な顔で私を見た。
「その通りだね。忌憚ない物言いは好きだよ七海。そうだなあ、きみの魔法は相変わらず強いんだけど」
いつみ先生は床を見た。怪人の腕が落ちている。次の瞬間。
[キャアアアアアアアア]
腕が奇声を上げて大きく跳躍し、私の顔にぶつかってきた。変身を解いたばかりで技が出せない。マズい……!
「ブレイクアップ・バーニング」
火炎が私の顔を掠めた。強くつぶった眼を恐る恐る開けると、変身したいつみ先生が、燃え盛る手で、怪人の腕を掴んでいた。
腕は意志を持っているかのように、私に掴み掛かろうとしている。
「覚えておけ。こいつらは怪人。死して尚、人を襲う。破壊本能だけで動く非人間。微塵も容赦をするな。完膚なきまでやれ」
先生は腕を握り潰し、燃やし尽くした。そして、
「フレアスイーパー!!」
手のひらから火炎放射を出し、床に散らばる数多の怪人の残骸を、1つ残らず完全に焼き払った。
焦げ臭い。それが怪人であれ、元々生き物だったものが燃えていく無情な匂いは、嫌だった。
「プロの戦隊として戦っていくなら、ここまでしなければいけないよ」
「はい」
私は呆然と返事をした。
「いい加減な返事をするな。できないならできないと言え。はいと言うなら気持を込めろ」
「はい!!」
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