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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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187 :げらっち
2024/06/06(木) 17:24:34
凶華はダッシュで戻ってきた。
「紫かー、てことはオイラは変身したら紫の戦士になるの?」
「そうそう。物分かりがイイね」
今だ。
私はスカウトマンの勘で勝負した。
「私の戦隊、紫が不足してるんだ。欲しいんだけど、くれない?」
すると彼は、あかんべえをした。
「やだよーん。誰が無臭の女の戦隊なんか!」
ぐさりとくる。
でも喰い下がる。
「今は無臭で無色だけど、これから華やかにしたいな。私は虹を見たい。あなたは良い匂いを嗅ぎたい。お互い目指すところは似ているし、協力し合おうよ。利用し合うんでもいい」
凶華は右目の下まぶたをずり下げて、ずっとあかんべえしている。
憎たらしいし、しぶといな。
「好きなお菓子は?」
「ティラミス」
「じゃあ週1でティラミスおごる」
「うっ……!」
凶華は落ちそうになった。あかんべえをやめて、真剣に私たちの戦隊に入隊するか、悩んでいるようだった。いいぞ。週2にすればもしかして……
でも交渉の続きをする前に、最悪のタイミングで、始業のチャイムが鳴ってしまった。
「あ! 初日に遅刻は印象悪い! 急げうおーん!!」
凶華は例の高速ダッシュで階段を駆け上がって行った。
「あちょっと!」
私は彼を追う。階段は苦手だ。頑張って追うも、踊り場で息切れした。
「ちぃっ……」
諦めないから。
私と凶華は、結局、一緒に教室を目指すことにした。
彼は目的地がわからないまま最上階まで駆け上がってしまい、その後私に教室の場所を尋ねてきたのだった。
もう遅刻は免れないので、ゆっくりと廊下を歩きながら、私はくどくど、くどく、くどいた。
「本当にコボレンジャーに入らない? 戦ー1でもまだ勝ち残っているんだよ」
「センワン? なんじゃそりゃ」
「学園内の最強の戦隊を決めるグランプリ。巨大兵器のメカノ助で敵を潰しまくったから、残り戦隊は少ないし、優勝できるかも」
「ふぅーん、興味ねえ」
そうこう話しているうちに魔法クラスの教室に着いた。
凶華は、教室とは思えないエキゾチックな重い扉を押し開け、薄暗い室内に声を入れた。
「すいませーん。遅れちゃいましたー。全部この無味無臭の女のせいでーす」
「無味は余計だ。私のせいなのは事実だけれど」
いつみ先生の姿は無い。
予想通り、金閣寺躁子のダル絡みを受ける羽目になった。
「あらぁ、あなたが編入生チャンね? 星十字軍の末裔と聞いたから、どんな子かと思っていたら、案外キュートなのね」
「あ、どーも。オイラ星十字凶華です」
金閣寺は凶華の頬をベタベタ触った。
「凶華チャンを強化してあげたいわね。なんてね……フフッ。ふてぶてしい小豆沢サンとは比べ物にならないわ。ねえ、わたくしのミコレンジャーにお入りにならなくて? あなたはかわいらしいから、男の娘として巫女になればいいわよ」
「男の娘?」
マズい、金閣寺なんかに逸材を取られてたまるか。
すると、凶華は金閣寺の匂いを嗅ぎ、ぴょんと後ずさった。
「ババ臭ぁ! 寄るな触れるな!」
「ババ臭いですって……?」
金閣寺の声に、ドスが利いた。彼女の顔がひくひくとひきつった。
「佑子チャン、どうお思いで?」
「躁子ねえさまは臭くなんか、これっぽっちも、ございませんのよ」と銀閣寺佑子。
面白いので、火に油を注いでやろう。
「私は臭いと思う」
金閣寺は、炎にガソリンを注がれ、ドカンと爆発した。
「屈辱感があるわねええ!! わたくしがッ、あなたを洗脳してッ、ペットにしてあげましてよ!! 覚悟なさい!」
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