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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
 ┗20

20 :げらっち
2024/05/04(土) 14:12:09

「か、怪人!?」
「緑谷先生、どうするんですか?」
「キャーーーーーーーーーー!!」

 生徒たちはパニックに陥る。

「七海ちゃん、どうしよ!!」
 楓も例外ではなかった。怯えた目で私を見てくる。
「落ち着いて楓。放送の指示に従えばいい。ここは戦隊学園、手練れがそろっているはず。先生たちや上級生が倒してくれるよ。慌てれば余計に危ない」
「……そうだね。七海ちゃん頭いい!」
 しかし私たちがいくら落ち着いたところで、落ち着けていない大多数の生徒を抑えることはできなかった。恐怖が伝染し、我先にと先生の元へ向かったり、出口に走ったりする。私も楓も人波に揉まれ、突き飛ばされ、押し倒された。
「楓!」
 私は楓と離れ離れになり、体格のいい男子たちの波に飲まれて、廊下に押し出された。
 天堂茂はといえば、一目散に逃げていた。
「どけ! どけ! 僕の父上は学園の役員だぞ! 教師共! 僕の安全を確保するのが最優先事項だろう!!」

「みんな落ち着いてよ!!」
 誰も私の言うことを聞かない。というより、聞こえていないようだ。いつもは私に触れないようにしている奴らも、今はタックルをかましてくる。モーセの能力も今は役に立たないのか。
 そうだ。
 私は叫んだ。

「触んないでくれる? 白がうつるよ!!」

 ピタっ、と群衆は静止した。もちろん火種自体を鎮火するには至らなかったが、私に降りかかっていた火の粉を払うことはできた。

「わ、わああ!!」
「来るな! 寄るな!」
 天堂茂はじめ馬鹿な奴らは、腰を抜かして、私に道を開けた。そうやっていつまでも未知の物に怯えているがいい。
 私は友達を探して廊下を走った。
「楓!!」
 すると曲がり角で、向こうから曲がってきた人に正面からぶつかってしまった。私は尻餅を突いた。
「いたっ」

「おっと、廊下を走ると危ないよ?」

 私はその光りを見上げた。

「いつみ先生!!」

 いつみ先生はこの緊急事態を知ってか知らずか、ニコニコと子供のような笑みを見せていた。
 私は立ち上がる。
「先生、怪人が出たって話ですが……」
「その通りだ。でも、落ち着いていいよ♪」
「私、落ち着いてます!」
 私はそう言ったが、まるで強がりのようだと、後から思った。

「僕たちが何とかするからね。怪人の討伐など日常茶飯事だ。戦隊は、悪を倒すために存在する」

 いつみ先生は廊下を颯爽と歩いて行く。

「筋二郎!」

 人混みの中から、ひときわ大きな体躯の、緑谷先生が現れた。
「いつみぃ。どうする?」

「どうするって、決まってるだろう? 我らが怪人を倒す。Gレンジャーを招集しろ。お楽しみの時間だ♪」

「だが生徒の避難は誰がする? 生徒の命が最優先だろ?」と緑谷先生。やっぱり堅実だ。

 だがいつみ先生は、ニヤッと笑って言った。

「避難など必要ない。かわいい新入生たちに、戦隊の戦い方ってものを見せてやろう♪」

 いつみ先生は「どけよ」と言って生徒たちをどかせると、階段のほうに歩いて行った。緑谷先生も、のそのそとそれに付いて行く。
 割れた人混みの中に、楓を見つけた。
「楓! 怪我は無い?」
「大丈夫。見よ!」
 私と楓は廊下の窓に駆け寄る。3階の特等席から、怪人と先生の対決を観戦ってわけだ。

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