Yahoo!ショッピング

スレ一覧
380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
 ┗213

213 :げらっち
2024/06/08(土) 11:25:20

 私は凶華の後を付いて美術室にやってきた。
 凶華をコボレに誘うのは辞めると言ったものの、淵藤のような奴に取られるのは釈然としないのだ。

 淵藤は私にシッシッした。
「ちょっと、あなたは来ないで良いのよ? 芸術のセンスなんて一欠片も無さそうですものね!」

 余計なお世話だ。

 美術室の前の廊下に差し掛かると、教室から黒縁眼鏡を掛けた女の先生が出てきた。書類の山を持っていて前が見えなかったのか、私に突っ込んできた。
「ちょ!」
 私はぶつかられた。
「おしくらまんじゅうか? オイラも混ぜろ!!」
 凶華はお尻からぶつかり、先生を吹っ飛ばした。先生は少女みたいな悲鳴を上げ尻餅を突き、書類は国技館の座布団のように舞った。
「大変です、大事な書類が!!」
 先生は書類を掻き集める。
「淵藤さん! この子たちは一体!?」
「期待の新入生とそのツレよ。スペシャルクラスの新風になるかもしれないわ?」
「成程、それならいいのですが……」
 先生は書類を纏めて立ち上がり、ズレた眼鏡を直すと、改めて自己紹介した。
「スペシャルクラス担任の水掛葵子です」
 黒いボブカット。紺のスーツにパンツスタイルの、ほっそりした女性。
 ぶつかってきたことへの謝罪が無いとは、少しムカついたので軽く煽る。

「スペシャルクラスは《その他》のクラスと聞いたけど?」

「ち、違います!!!」
 予想以上の反応、水掛先生は書類を撒き散らし、ヒスを起こし怒鳴った。

「スペシャルクラスは他のクラスでは割り切れない、特殊な技能を持った子たちの集まりなのです!! 少数派だから他のクラスに分類されていないだけで、決してその他などという曖昧な扱いではないのです!! そこを履き違えないで下さいね!! 芸は身を助ける、この時代、生き残るには一芸が必要なんです!! 私だってここに来る前は調理戦隊として働いていたんですからね……まったく……!」

 水掛先生は書類を踏ん付けて去って行った。

「ま、あの先生は無視して頂戴。7年前に赴任してきたばかりの新顔ちゃんなのよ。私とは同い年だわ」

「!?」
 最後の情報は聞き捨てならない。

 だが凶華は気にせず美術室に入ってしまったので、その後を追う。

「うわ~、絵の具臭えなあ!」と凶華。
 美術室は、床も壁も天井も、絵の具で埋め尽くされていた。赤青黄、金銀銅、様々な色で空間が派手カラフルだ。
 ゴッホやピカソの絵が上下逆様に掛けられており、そこにも絵の具がベタベタと塗られていた。過去の芸術をひっくり返してやるとかそういう陳腐な意味が込められているのだろうか。
 空間内では数人の生徒がキャンバスに向かって筆を動かしていた。
 淵藤はそのうち1人の肩を叩き、尋ねた。
「ドガレッド、調子はどうかしら?」
「順調っス! 才能爆発しまくっちゃってますよ! おらおらぁ!!」
 ドガレッドと呼ばれた赤いベレー帽を被った生徒は、絵筆をキャンバスからはみ出させ、空中にまで着色した。
「ふぅん、あたしにはまだまだ不燃に見えるわよ。牢に入ってみる?」
「い、いえ!! 滅相も有りません。これからもっともっと爆発しますので……」
「まあいいわ」

 牢? とは何だろうか。

[返信][編集]



[管理事務所]
WHOCARES.JP