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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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216 :げらっち
2024/06/08(土) 11:26:08
私と凶華は肩で息をしながら、睨み合って主張をぶつけ合う。
「私はね、ずっとカラフルに憧れてきた。学園に入って、嫌な思いもしたけど、それ以上に仲間ができて嬉しかった。私の白紙の人生に、青が、緑が、黄が、桃が塗られた。七色の虹を作るんだ。今までの空白を埋めるんだ。素敵な匂いや美味で一杯にするんだ。白い私でもどんな未来でも描けるって示すんだ!! あんたに私の虹を、仲間を、否定はさせない!!!」
凶華は何と言い返すか。何も返さなかった。
その代わり、ひくひくと、鼻を動かした。
「……何のつもり?」
「いや、何か感じた気がしてな。何だろう。無臭の匂い」
無臭の匂い?
それは矛盾ではないのか。
「身体が、本能が刺激されるような。これはフェロモンという物か」
凶華は目を閉じてしばらく空気を嗅いだ後、目を開けて、歯を見せてニヤッと笑った。
「お前、イイ匂いだな!!」
私の虹論が凶華の支持を得たのか?
「それはありがとう。でも後の祭りだ。私たちはここらでケジメをつけておくべきだ」
「いいねえ。遊ぼう遊ぼう!」
私も凶華も戦隊証を取り出した。
「ブレイクアップ!!」
「コボレホワイト!!」
「コボレスター!!」
凶華は紫の戦士と成った。全身がブドウのような宇宙のような紫で、ゴーグルの下の目が、星のようにきらりと光る。
あーあ、変身祭でこの息の合った変身ができていれば、こんなことにはならなかったのにな……タラレバは御法度か。
「オイラの技を喰らわしてやる。例えこの空間でも、オイラならお前を殺せるかもしれないからな!」
「それはありがとう。私には死の解放を与えて、あなたはこの先宇宙が終わるまで永遠にここで1人で生きるつもり?」
「ドッジボール!!」
会話の途中で何の前置きも無く攻撃が飛んだ。紫の球体が飛んでくる。
「アイスバリア!!」
咄嗟に氷の守りを展開し防御。紫は砕けたが、私のバリアもひび割れた。やるな。
「守りだけじゃつまらねえぜ!」
「わかってる! 氷河ランチャー!」
「レーザードッジ!!」
白と紫がぶつかり爆。攻撃と攻撃は相殺された。狭い空間で音と衝撃、そしてイロが飛び散る。
なかなかの強さだ。やはりコボレの一員に加えたい、なんて今更思っても無駄だ。覆水は盆に返らないし、初期化したデータは復元できないし、壊れた友情は元に戻らない。
時間はたっぷりある。私たちは、何度も何度も何度も技をぶつけ合った。不死の空間ではお互い傷付かないが、徐々に疲弊してきた。
「ふぅ、ふぅ、」
次が最後の一撃だ。
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