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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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223 :げらっち
2024/06/08(土) 12:24:02
「凶華!?」
ちょっと癖のある髪。両端が持ち上がった口角からはみ出した、対の犬歯。
どんな物でもきれいに見えてしまうんじゃないかというような、邪気の無い澄んだ目。
そこには凶華の顔が載っていたのだ。
「でもこれ、結構古い本みたいだよね?」
「ボケないで七海さん。これは星十字凶華じゃないよ」
佐奈は写真の下の文字を指で叩いた。
『星十字楼也』
星十字軍総統その人の名前だった。更にその下に「30歳の頃の写真」と書かれていて目玉が飛び出んばかりに驚いた。
この写真の人物は、どう見たって凶華や私たちと同じくらいの青少年にしか見えない。
邪気や煩悩は人を成長させるが、老けさせもする。それらが無いという事は、いつまでもピーター・パンと一緒に夢の国に居られるという事だ。
それにしても、似過ぎている。
凶華がこの男性の子孫だとしたら、似るのは当たり前かもしれない。それでも奇妙なほどに瓜二つ。正確な模写、正に生き写しのようなのだ。
逆に謎が増えてしまった。
「どういうこと!?」
「しぃ。図書館ではお静かに。ビンゴです。あのコは星十字軍の忘れ形見だったと見て間違いない、黒ですよ。うちの言う通りでしたね星十字凶華は追放ですコボレの参謀であるうちの助言は聞いておくべきなんですよね最初カラネ」
「それよりさ」
私は佐奈の手から本を奪った。佐奈は「ああん!!」と大袈裟に喘いだ。
「これが星十字軍についての細かな報告書だとすれば、ニッポンジャーが星十字軍を倒したのは八百長だって証拠があるはずだ」
私は他のページにも目を通そうとしたが。
「不法侵入! モーモタロサン!! モーモタロサン!!」
「え?」
「金太郎クラーッシュ!!」
まさかり担いで熊に乗った金太郎が私に体当たりした。
「ぎゃあ!!」
私は大きく吹っ飛ばされ、本を取り落とした。すぐに拾おうとするも、本は消えており代わりに謎の赤い戦士が立っていた。
「あなたが落としたのはこの金の斧ですか? 銀の斧ですか? それとも大きいつづらですか小さいつづらですか」
「いや、どれも違うのだけど。私が落としたのは黒い本。それに、何か色んな御伽噺が混ざってる気が……」
だが公一はあほみたいに「金の斧です!!」と言ってしまった。
「嘘吐きの欲張りのあなたにはこの金の斧で頭を割ってやる!!」
赤い戦士は斧を振り上げた。私は咄嗟に「違います、つづらです」と言った。
するとつづらが落ちてきて開いた。
「浦島太郎タマテバコーッ!!」
私たちは煙に包まれ、老人老婆になるどころか、図書室の外に飛ばされてしまった。
「な、なんや今のは! 無茶苦茶や!!」
「もっかいあの本の所に行きましょう!」
私たちは今一度図書室に入った。すると受付には、さっきの赤い戦士が居た。
「ストーップ! 私は読書戦隊エホンジャーのエホンレッド!! 図書室はたった今より、入場に料金が発生するようになった!!」
なんだその暴論は!!
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