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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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229 :げらっち
2024/06/08(土) 12:27:17
「ナナ、オイラも遊びに混ぜろ!」
ゴルトギガスに立ち向かったのは、例の愛犬だった。凶華が猛ダッシュしてきて、私とロボの間に割り込んだ。
「面白そうな遊びだと思ったが、何してんだ? お前ら、ここは戦隊の学校なんだよな? 身内の争いばかりしていてヒーローが務まるのか? ビラ校とどっこいどっこいだぜ。この学園にもい~やな臭いがプンプンしてる! そいつら全部オイラがやっつけてやんよ」
凶華は戦隊証を取り出し、変身する。
「ブレイクアップ! コボレスター!!」
私はグッと握りこぶしを作った。
「よし、勝ち確だ」
私の後ろに居た楓たちは凶華の変身を初めて見て、ざわついた。揚羽のような、紫の戦士。
「ドッジボール!!」
紫の戦士は紫の球を投げまくる。ゴルトギガスはそれらの直撃を受け、砂塵を上げ大きく後退した。
「やめやめ待ってえ! 放射能が漏れちゃうよおお!!」
「オラオラァ、タンマは無しだぜ!!」
小さいまま巨大勢力に太刀打ちするとは大した力だ。
「わたしの話をよーく聞いて! わたしは首席会の決めた税の取り立てをしているだけだよー、汚い仕事を引き受けてあげてるんだよぉ! そもそも、納税しないあんたたちが悪い。コボレンジャーの破壊行為のせいで学園は今大赤字なんだよ! それだけじゃないよ」
ゴルトギガスの腕の砲門が、凶華に向いた。
「星十字凶華。あんた個人が破壊した学園の施設、大浴場・イエローホール・階段・トイレの弁償をして貰おうかぁ!?」
「うぐ……」
凶華の動きが止まった。確かに、凶華は短期間で多くの施設を破壊し過ぎである。
「オイラ、お金無い」
板金は操縦席という高所から凶華を見下して言う。
「お金無いじゃ済まされないんだよねぇー。此の世は金兼ね金、お金が全て!! お金を払えない奴が文句を言う資格はないんだよぉー!!」
ゴルトギガスは金の火炎を発射、爆発が起き、凶華は尻尾を巻いて逃げ出した。
「わおーん、だってオイラ親居ないし! どうしようもないんだよ!!」
ゴルトギガスと凶華の追いかけっこ。しまいに凶華は吹っ飛ばされ、変身が解けた。流石の凶華も金の力には勝てないのか?
満身創痍の凶華は私に飛びついてきた。
「助けてリーダー!!」
黄金のロボは私の目の前に迫り、私に砲門を向けた。シューッ、シューッと熱い煙が私の顔に掛かり、切り揃えられた髪が棚引いた。
「あんたがリーダーならあんたが立て替えてくれてもいーんだよぉ? それか、コボレンジャーの連帯責任か」
「ち、違います違います!!」
と公一。
「星十字凶華がコボレの一員なんて大嘘や! 勝手に言ってるだけや。俺たちは関係ありません連帯保証人なんかじゃありません!!」
「こら公一」
凶華は涙目で、私の前に跪いた。
「ナナ、オイラお金払えないよ! 色々壊したのも、悪気は無かったんだよ~!!」
「大丈夫、リーダーの私が何とかするよ」
と言っても私だって貧乏だ。
私は公一に、無心した。
「公一お願い。この通り」
プライドも何もかも捨て、地面に膝を突き、校庭の砂に額を付け、土下座した。
「はあ!?」
「お願いします。この窮地を救ってくれるのは公一様しか居ません。コボレのみんなで虹を見たいんです」
「お願いします!!」
凶華も私の隣で土下座した。
「な、何やねん。何で俺がこんな犬の為に……」
私は顔を上げ、口の前で両手の指を組み合わせ、上目遣いに公一を見た。公一は顎を掻いたり、せわしなくその場を行ったり来たりしていたが、やがて目が合って。
「私の為に、お願い。もし払わないとリーダーの責任になって退学になっちゃうかもしれないから」
「くっ……」
公一はきゅっと目をつぶった。
「……仕方あらへんなあ。七海のためやで、感謝しろよ犬!!」
凶華は飛び跳ねた。
「くうん、ありがとなイチ!!」
「イチ!? 何やその犬みたいな呼び名は!!」
よし、九死に一生だ。やっぱりあなたは王子様だ。
「でもいくら俺のオトンが有名忍者で俺んちが金持ちだからって、学園の赤字を埋め合わせるくらいの大金は払えへんで!?」
「え、そうなの?」
「仕方ないな」
意外な人物が声を上げた。
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