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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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230 :げらっち
2024/06/08(土) 12:27:30
「うちも出しますよ」
佐奈がそう言ったのだった。
「え、まさかさっちゃんの家って金持ちブヒ?」
「金持ちって程でもないけど……ママが昔、そこそこ稼いでて……まあともかく、少しなら負担できますよ」
「いいの?」
佐奈は頬を赤らめて、目線を逸らしながら言った。
「そりゃ、七海さんが退学になったら、やだから……」
「ありがとう、やっぱり佐奈だいすき!!」
私は小柄な彼女を思い切り抱き締めた。
「七海さっ、やめてよっ、みんなの前で!」
佐奈は逃れようとするが、ガッチリホールド。
「ちょいちょい!! 主に払うのは俺やで!! 俺にも抱き付いてくれていいんやで~!!」
「良い仲間たちだな!!」
凶華はニヤついた。
公一と佐奈は即金で大量のお金を払った。板金は拍子抜けしていたが、やがて言った。
「や、やるじゃん。それは全部学園の予算としよう」
ゴルトギガスはしゃがみ込み、鋼鉄の腕で、札束の山を拾い上げた。
凶華は言った。
「嘘臭いぞ!!!」
板金は目を見開き鼻をひくつかせ口を真一文字にした。つまり露骨にギクッとした。
「嘘の匂いがプンプンするぜ! ネコババする気だな?」
「な、何のことかなぁー……」
板金は滝のような汗を流していた。ポケットマネーにするつもりだったのだろう。金払いの良い金持ちとケチで強欲な金持ちが居るが、コイツはその後者だ。
「みんなで退治してやろうぜ!!」
凶華の音頭で、私たちは改めて変身する。
「ブレイクアップ!!」
「コボレホワイト!」
「コボレブルー!」
「コボレイエロー!」
「コボレグリーン!」
「コボレピンク!」
「コボレスター!」
「虹光戦隊コボレンジャー!!!!!!」
ついに6人で声をそろえ、変身することができた。虹に向けての大きな進歩だ。
「えーい、生意気! ギンコウジャーの娘であるわたしに逆らうの!?」
ゴルトギガスはこちらに砲門を向ける。が、凶華が札束を盾にした。板金は手を止めた。
「お、お金は撃てないいっ!!」
その隙に6人でゴルトギガスににじり寄る。
「や、こないで! このロボは原子力で動いているんだよぉ! やたらに手を出すと……」
「原子力? 何それ良い匂いなの?」
凶華はゴルトギガスを片手で持ち上げた。
「にゃぎゃあ! やめてって言ってるでしょ!! 危険性がわからないの!?」
「わからないなあ」
凶華は巨大ロボをヘディングして遊んでいる。
「凶華!! それ、捨てて捨てて!」
「捨てるってどこに?」
「遠くに!!」
「おっけー!」
凶華は振りかぶり、ゴルトギガスをぶん投げた。お空の向こうに。板金は機体から飛び降りた。
「よし、コボレーザーであれを宇宙まで飛ばそう!」
「そんなことできるん?」
「6人の力を合わせればできるよ!」
私たち6人は円陣を組み、それぞれのイロを組み合わせ、上空へと飛ばす。
「オチコボレーザー・ヘキサ!!!!!!」
色鮮やかな魔光が、悪辣なる機械を上へ上へと持ち上げていく。やがて雲の先、もしかしたら宇宙に届くほどの高さにまで行き、
バカァン!!
大きな花火となった。
ゴルトギガスの破片が金粉となり、学園に降り注いだ。これだけでも、学園の赤字を黒字にひっくり返せるくらいの額はあるだろう。放射線で汚染されていなければの話だが。
校庭に不時着した板金は三輪車に乗って逃げようとしていた。でも彼女の前に光りの弾が落ちて、緑色の車に変化した。見た目はタンクローリーのようで、ホースが付いている。そのホースが蛇のように伸び、板金に吸い付いた。
「うげぇ!! 何でバキュームカーなのぉー! わたしは汚物じゃないよおー!!」
哀れな吸引音と共に、板金は吸い込まれていった。車はホースを収納すると、何事もなかったかのようにどこかに走り去った。
私は尋ねた。
「バキュームカーって何?」
「俺は知らへん」
「あたしも知らない」
「うちも」
「僕もブヒ」
「あ、みんな知らないのか! 排泄物を除去する車だよ。あいつくっさいからそれがお似合いだと思ってな!!」
凶華は無邪気に笑っていた。不思議な術を使う子だ……
増税騒動は収束した。
税に関する貼り紙が全て剥がされたその下に、最も重要な、真っ赤な貼り紙があった。
《校外学習のお報せ》
つづく
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